三菱電機の機器事業部長に4月から福山製作所副所長の南公敏氏が就任した。シーケンサやサーボモータ、インバータ、表示器、配電制御機器などを所管する機器事業部は、業界トップシェアの製品も多く、同社の中核事業のひとつとなっている。
南機器事業部長は「国内のエネルギー関連市場への取り組みを強めるとともに、伸長が著しいASEAN市場の開拓に向けて機器事業部のアジア事業推進部で取り組むことで、機器事業を前期比10%以上伸ばしたい」と今後の方針を明らかにした。
4月から、FA海外事業部のうち、ASEAN地域を機器事業部が所管することで、日本からASEAN地域へ進出している日系企業のビフォアとアフターサービスを中心に、装置に使用される機器への同社製品のスペックイン活動を展開するのが目的。
「日本からASEAN地域に進出する企業が増え、市場のグローバル化が急速に進んでいる中で、開発も含めたローカライズ化も進んでいる。こうした日系企業に対して、日本と同じようなシームレスで同一の質で対応していくことが求められている」(南事業部長)として変更した。
同社はアジアでFAセンターの開設を積極的に行っており、今年に入っても3月にインド、6月にインドネシアに設置するなどサポート体制の充実に取り組んでいる。
アジアの中でもチャイナプラスワンとして注目されているASEAN地域に重点をおいて推進していくために「今年は来年度からの本格展開に向けた助走期間である」(同)。
一方、国内では市場の拡大がなかなか見込めない中で、シェアアップによるシナジーと顧客満足度を高めていく方針だ。既存事業ではアプローチしきれていない分野へのコンタクトを強めるとともに、エネルギー関連市場を重点開拓していく。
受配電機器需要を下支えしているPV(太陽光発電)関連が今期も堅調な拡大が継続して見込まれることから、キュービクルやパワーコンディショナー、接続箱、集電箱向けにブレーカーやマグネットスイッチ関係の需要拡大が続く。また、マンションの高圧受電設備に向けたスマートメーターも今年4月から投入するなど、新たな商材も加わってきている。
さらに、省エネ支援機器として電力消費の計測と見える化を進めるエコモニターや、電力消費削減につながる高効率モータも今年4月から発売している。
トップシェアを有するシーケンサでは、FAコントローラやパソコンのユーザー向けにC言語コントローラの提案を行っており「メンテナンス性の良さなどでメリットがあり、需要創造型でのニーズの掘り起こしにつながっている」(同)。
こうした一連の取り組みで機器事業の今年度売り上げを前年度比10%以上伸ばす計画で、「サーボモータやシーケンサは2桁、配電制御機器も前年比プラスにしていく」(同)。
南事業部長は「当事業部はコンポーネントを通じてものづくりに携わっているが、企業のTCO(総コスト)削減や、より良い品質のためにシステムアップしていく社会に貢献するために、製造業とタッグを組んでいきたい」と今後への抱負を語っている。