食品加工用機械の規定を追加した改正「労働安全衛生規則」(安衛則)が、今年10月1日から施行される。改正安衛則では、機械の危険な部分への覆いの設置や、食品の原材料の送給・取り出し時の運転停止、用具の使用などが義務付けられる。食品加工用機械による事故の防止と、機械安全対策機器の需要拡大が期待されている。厚生労働省は、今年4月12日付で改正安衛則を公布した。食品加工用機械で、作業の特性に応じた安全対策を義務付けた今回の改正安衛則は、食品加工用機械による作業事故を防ぐのが狙い。
食品加工用機械による2012年1年間の休業4日以上の死傷災害は、2000件近く発生している。これは、木材加工用機械(丸鋸盤)の約1000件、研削盤、プレス機械、工作機械(旋盤、ボール盤)など、他の産業機械による災害の各約600件に比べ、2倍~3倍と特に多い状況となっている。
災害内容も、身体部位の切断や挫滅(組織がつぶれること)により身体に障害が残る可能性のあるものが全体の4分の1を占めている。今回の改正では、食品加工用切断機・切削機の刃の切断に必要な部分以外には、覆いや囲いを設けることが義務付けられた。
また、食品加工用粉砕機・混合機の開口部からの転落が生じる恐れのある時には、蓋や囲い、高さ90センチメートル以上の柵などの設置も必要になった。
さらに、粉砕機から内容物を取り出すときには、機械の運転を停止し、用具などを使用することも求められている。
食品加工用機械は危険性が高い割には安全対策が遅れており、今回の改正で作業事故の減少が期待されている。
機械安全機器メーカーにとっても、自動車生産ラインや工作機械など、比較的安全対策が積極的に取り組まれている業種に加え、食品機械分野での安全対策の進展は、新たな市場拡大につながるとして、期待が高まっている。