回転灯・積層表示灯など表示機器のトップメーカーであるパトライト(大阪市中央区松屋町8―8、〓06―6763―8001)の新社長に山本節次郎氏が就任した。同社は表示機器で国内シェア約70%を有し、2012年3月期の売上高90億円、営業利益10億円、経常利益は6億円。今年5月13日付で、因幡電機産業の100%子会社として新たなスタートを切ったが、大手の商社と回転灯のトップメーカーが手を組むということで、各方面から大きな注目を集めている。山本社長に、就任の抱負や今後の経営方針などを聞いた。
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社長に就任されて2カ月が経ちましたが。
自分の判断で事に当たる
「前職の因幡電機産業で長く電工事業に携わってきたので、当社がかかわる回転灯や表示機器などの製品は目新しいものばかりで、新鮮さを感じている。しんどい部分もあると思う半面、面白いことも多く、わくわく感を大事にしながら取り組んでいる。最初でもあり、まず社員とのコミュニケーションを取ることを大事にしている。呼び方も肩書ではなく、「さん」付けで気さくに呼んでもらうことにしている。真面目な社員が多いが、何かの行動を起こす場合、上司に指示を仰いでから行動を起こすという雰囲気も感じられるので、これからは自分の判断で物事に当たれるよう各自に意識改革を行ってもらい、スピード感を出していきたい」
新生パトライトとして最初に取り組むべき課題は何でしょうか。
「入社してみてあらためて感じたが、やはり『パトライト』という知名度の高さを実感している。表示機器の専門メーカーとあって、技術開発力も内外に誇れるものを持っており、特にテクノセンターを有する三田工場(兵庫県三田市)は、性能の高い試験装置も各種そろえ、品質体制も万全である。関係する方には是非、工場を見学していただきたいとも思っている」
中期での売り上げ目標を聞かせて下さい。
スピード感を大事に
「まず、今期(13年度)は会社の状況をよく把握し、無駄な部分があればそぎ落としていきたい。来期(14年度)から、私の経営方針を積極的に展開する方針で、それまでは組織の改革などを行って備えをしていく。中期の売り上げ目標は、17年3月期に120億円を目指している。先にも触れたように、私は自己の判断・責任を大事にするタイプで、『どうしましょうか?』とたずねてくるより、『こうやりたいです』と言ってきて欲しい。判断力とスピード感を大事にして、パトライトを強い会社にしていきたい」
今後、因幡電機産業とはどのように連携していきますか。
因幡と良好な関係維持
「因幡電機産業とは従来から、商品の販売と仕入れの両方で取引があり、それぞれで当社のベスト3に入るくらいの金額がある。今後もこうした良好な関係を維持していくとともに、貴重な情報などをいただきながら、当社のオリジナル色を強く出していきたい。一方、当社が従来から大事にしてきた、代理店や販売店などの販売ルートについては、従来からの方針を継続していくことに変わりはない。将来的には、因幡電機産業と経理、物流、情報システムなどの面で連携が深まる可能性もあるが、因幡電機産業は当社より先に子会社化した春日電機さんとの間でも良好な関係を築いており、こうしたことを良い前例として、当社も学ぶべき点は学んでいく。当社は一時期、筆頭株主が投資ファンド系に移ったこともあったが、因幡電機産業の子会社になったことで、スッキリした体制となった。私以下が『社員みんなの会社』という気持ちで取り組み、当社の地位向上に努めていきたい」。