今年1月に日東工業グループ入りした情報通信機器大手商社、サンテレホンは、従来の情報通信市場におけるビジネスに加え、オフィスからFA分野へIT技術の活用範囲の広がりに着目している。
4月に新社長に就任した小出行宏氏は「製造業は生産管理やエネルギーマネジメントなどにIT技術を導入する方向にあり、当社の情報通信の企画力、機器調達力を生かせる」とFA分野での事業拡大に意欲的。今年度内に新中期3カ年経営計画を策定し、年商300億円企業を目指す方針である。また、グループ会社とのシナジー効果を目指すものの「ビジネスの面では独立性を持って臨む」と商社としての役割を十分に認識して経営に当たっている。
小出社長は「グループ経営の中の一員として、前職で培った技術スキルや商品企画、ソリューション営業などの経験を活かし期待に応えていきたい。また、お客様、社員、ステークホルダーそれぞれのことを考えた経営を行っていく」と社長就任の想いを語る。
シナジー効果目指す
メーカーの傘下に入っても「サンテレホンは情報通信のマルチベンダーであり、各メーカーの製品を分け隔てなく販売しているが、今後もその基本姿勢に変更はない。売り上げや利益など経営的にはグループシナジー効果を目指すが、ビジネス面では独立性を持って行う。当社はまもなく設立65周年を迎え、情報通信機器の専門商社として、また、歴史あるリーディングカンパニーとして、より一層確固たる地位を確立したい」と語る。
新3カ年ビジョン
今後の方針について、小出社長は「経営の見直しを行う予定で、現在、5カ年計画の3年目に入っているが、業績・方針も含めて再検討し、来年度から実施する新3カ年ビジョンを打ち出す。新中期3カ年経営計画では、昨年度の売上高216億円から300億円へ拡大を目指すことになる。今までのビジネス延長では難しいが、新規市場、新規事業などの展開により、グループ内での当社の比重を高めたい」と抱負を述べる。
新分野の取り込みでは「IT技術は様々な分野で活用されてきている。FA分野でもIT技術が導入されており、当社の得意とする情報通信の機器や部材の調達及び、企画力でフィールドを広げていく。電話設備やTV会議システム、LANシステムは工場でも採用されているが、エネルギーの見える化やフィールドバス分野でもIT技術が必要とされており、事業展開の余地が大きい。ソリューション営業で本格的に取り組む」とFA分野にも意欲的である。
「当社は社員年齢が若いので、新しいことへの取り組みにあまり抵抗感がない」と社員を信頼し新規分野へ進出を図る方針。
【小出行宏社長の横顔】1958年生まれ。55歳。81年日東工業入社。02年技術企画室長、05年販売企画室長、07年第一開発部長、09年商品企画部
長、10年執行役員、12年ソリューション統括部長、同年取締役営業本部副本部長、13年4月サンテレホン代表取締役社長に就任。