スマートマーカー需要拡大に期待 効率的電気料金プランに対応 EMSと運動、電力量最適化

電力会社による電気料金の値上げが実施されたが、一方では、電力会社が時間帯別の電気料金プランを提案するなど、電気料金の多様化が進んでいる。電気の利用者がこうしたプランを上手に利用することで、電気料金を安く使用することも可能である。こうした新しい電気料金プランに対応するため、スマートメーターの需要が拡大している。スマートメーターの導入は、各種のEMS(エネルギー・マネジメント・システム)とつながり、太陽光発電システムなどが蓄電する電力量を最適化することも可能で、今後、スマートメーターのさらなる需要拡大が期待される。大手電力会社は、原子力発電所の稼働停止などにより、火力発電所の発電量をアップしたことに伴う燃料費負担増などの理由で、7月から電気料金の値上げを実施したが、今後も燃料費の高騰などにより、値上げされることも予想される。

その一方、電力会社では、時間帯別の電気料金プランを提案するなど、各種の提案も行っている。このプランにスマートメーターを有効利用すれば、時間帯別の料金プラン設定など、電力の利用状況に合わせた各種の料金プランを計画・実現することができる。

2010年に設置された「経済産業省スマートメーター制度検討会」では、電力の需給状況に応じ料金体系が変動する「ダイナミック・プライシング」制度を提案している。

同制度は、電気料金を社会システムの電力需給の逼迫度に応じ、上げたり下げたりして利用者に効率的な電力利用を促す価格システムで、電力使用量を30分ごとに測定し、30分単位で料金が変わるシステムである。

電力需要が大幅に増える夏の昼間では、12時~13時は低めで、14時~15時が最も高くなる。この2つの時間帯で料金を変えることができれば、電力のピークを平準化させ、安い時間帯の電力を使う場合メリットがある。ピークの平準化は電力会社が燃料費などを節約できることにもなり、最終的に電気料金の値上げ抑制につながる。

昨年、北九州市の民間マンションで、日本初のダイナミック・プライシングの実験を行った結果、ピーク価格が高いほど大きなピークカット効果が得られ、一般家庭に導入すれば10%程度の節電効果と、20%程度のピークカット効果が得られたという。

さらに、スマートメーターの導入により、電力使用量のデータが、BEMSやFEMS、家庭のHEMSでも把握することができるので、そのデータを基に、各EMSから太陽光発電システムや電気自動車と連携し、蓄電する電力量を最適化することなども可能となる。

また、電力使用量のデータを使ったセキュリティサービスなども提案されている。例えば「高齢者見守りサービス」は、スマートメーターが把握する30分単位の電力使用量のデータから、高齢者が住む家の状態を推測し、適切な対策が迅速に行えるというサービスである。

電力の使用量が通常ならば普通に生活ができていると判断、使用量が極端に低い場合は、何らかの異常が生じている事態を想定して対処することができ、新しい社会サービスにつながる。

このほかにも、スマートメーターの情報を使った各種のサービス提供など応用範囲は広く、今後のスマートメーター関係の動向に注目したい。

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