山奥に咲く珍しい花を見に行ったとき、人や動物の侵入を防ぐ電線が張り巡らされていた。注意書きが貼られていたが、一瞥しただけで、小さな花なのでつい近づきすぎてしまい、電線に触れた。接触した頭がピリッとした。微少電流なので、感電の衝撃はなかったが、周囲の眼差しの激痛は大きかった。
感電事故の多い8月は「電気使用安全月間」である。23年度の自家用電気工作物の事故は525件である。そのうち、感電死傷が49件、電気火災3件となっている。ちょっとした気遣いで防げるケースもあるのではないだろうか。関係団体は、分散型エネルギーシステムの普及により、従来とは違った安全性・品質維持が必要で、予防保全的な対策が重要と呼びかけている。
今年の安全月間は、実施要領に、配線器具等の火災状況PR、太陽光発電設備の点検・メンテナンスの勧奨、高経年高圧ケーブルの更新勧奨、電気設備の耐震性の点検・確認、高圧受変電設備の耐震リスク簡易チェック表の配布など新規項目を加えた。東日本大震災では、キュービクルなどが倒壊や津波に流された。耐震対策や予防保全はもはや社会的な要請である。
機械も高齢作業者、外国人従事者が増える昨今、予防保全を講じるときである。機械の安全対策は、10月30日開催の全国産業安全衛生大会で喚起を促す。機械・設備等の安全分科会ではリスクアセスメント事例、安全対策事例が発表される。電気も機械も触れなければ安全だが、万一のときの工夫がもっと欲しい。その要は自動安全制御である。