工場や倉庫、事務所などの建設投資が増え続けている。建物や設備の耐震化、省エネ対策などに使用される受配電盤類、監視制御装置、電源の需要も順調に推移しており、そのため関連制御機器も回復基調にある。建築物の投資は来年度も増加する見通しにあることから、関連制御機器の先行きにひとつの明るい材料である。国土交通省がまとめた今年度建設見通しによると、工場、倉庫、事務所、店舗の民間非住宅建設(建築、土木含む)投資は、前年度比8・6%増加の13兆1000億円と見積もっている。このうち建築投資は、前年度比9・4%増の7兆7800億円の見通しである。土木投資は7・5%増の5兆3200億円。
建築物のリフォーム・リニューアル投資額は8兆6900億円である。民間非住宅が63・5%を占める。
建設経済研究所も、建設経済モデルによる建設投資の2014年度推計を発表した。
民間非住宅建設投資は、13年度が前年度比6・8%増の12兆8800億円としている。着工床面積は、前年度比で事務所8%増、店舗10%増、工場13%増、倉庫5%増。建築投資は7%増加である。
14年度も同4・8%増の13兆5000億円。建築投資は同6%増加。
民間非住宅のうち、ビルの供給見通しが底堅く推移する。店舗は、大店立地法上の届け出件数が直近2年間で増加傾向にあり、引き続き順調に推移。
工場は、リーマンショックの影響で下落がとくに大きかったが、着工床面積が回復傾向にあり、円安の影響も受けて、この傾向が続く。倉庫は、物流関連市場が拡大しているほか、外資系ファンドや大手不動産会社の投資意欲も旺盛で堅調に推移している。
民間非住宅の建築投資には、耐震化、省エネ化が含まれる。耐震化では、受配電盤の新規につながり、また、省エネ化では空調、電気の監視・制御装置や機器の新設を促進する。
制御機器メーカーでは、これまで工場内の設備の効率化、省エネ向けに注力してきたが、最近は工場全体の省エネ化をアピールする傾向にある。そのため、民間非住宅の動向にも関心が高まっているが、建築投資が堅調に推移するとの政府見通しは、制御機器業界にも明るい材料を与えそうである。