国内産業の空洞化が懸念される中で、今後の国内産業の振興に向けて、医療・介護周辺での市場開拓への模索が続いている。特に少子高齢化社会のもたらす負の影響が、日本はもちろん先進国や中国などの新興国でも現れはじめており、今後医療・介護周辺での需要が大きく拡大することが見込まれている。ロボットやセンサー、表示機器、モーション機器などの技術を駆使した医療・介護機器関連が新たな産業として期待が高まっている。
国内での生産能力増産投資が今後大きく見込めない中で、それに代わる産業の育成が現在求められている。現状は、PV(太陽光発電)や風力などの再生可能エネルギー周辺での投資でパワーコンディショナーや接続箱、配電制御機器などが活況を呈し、EV(電気)・プラグインHV(ハイブリッド)自動車周辺での投資では、充電器、電池、コネクタなどの需要にプラス効果をもたらしている。
これら先行している分野に続く次の産業の筆頭として期待されているのが、介護・医療関連産業だ。
高齢化人口の増大と、それを支える介護する人の減少は今後ますます顕著になってくることから、このギャップを埋める産業として期待を集めている。
現状、介護・医療関連周辺では、ロボットやセンサー技術を駆使したインテリジェントな利用は、病気の手術などでかなりハイテクな技術が利用されているが、ほとんどを人が介している。
特に遅れているのが、介護・福祉機器用途だ。介護では、移動や移乗支援、排泄支援、認知症対応などで、ロボットやセンサーやモーション、センサー技術が大きな役割を果たすことが見込める。
また、福祉ではリハビリ機器や五感補助などで、センサーや補助モーターなどの活用が見込める。
こうした用途の開発に向けて、国からはロボット介護機器開発・導入促進事業として、2013年度は23億9000万円が予算化されており、事業として採択されると開発費の2分の1~3分の1が補助される。
こうした用途でのロボットなどの導入には、一部で税制や医療制度、事故対応などが壁になっている面もあり、こうした課題をクリアしていくことも必要になる。
一方、新薬開発や細胞培養といったバイオメディカル分野でのロボットの活用も見込まれている。
少子高齢化社会の到来は日本だけの問題ではなく、グローバルな中での問題であり、それだけに医療・介護機器の市場が今後大きく膨らむのは確実なことから、いかに早く、使いやすい機器を開発・投入することが求められている。