「電気」と一体で必ず使用 配線接続機器 配線をそのまま端子台に差し込む 「欧州式」が急速に増加 大電流、耐環境性求められる

端子台、コネクタなどの配線接続機器は、電気機器の入出力を支える部品として、重要な役割を果たしている。工場内の生産設備や、ビル・工場の受配電設備・事務機器、公共施設の各種機器、電車や自動車、さらには家庭や身の回りの電子機器まで、およそ電気のある所には、一体として必ず使用されている。用途に応じて形状やサイズが各種あり、接触信頼性、安全性、配線作業性などがポイントに採用されている。直流の高圧化、材質の改良なども進展しており、地味な製品ながら大きな市場を形成している。

日本ではネジ留め式が主流

端子台は、薄型化や省スペース化、インテリジェント化、狭ピッチ化などが進んでいる。微少電流用から大電流用、プリント基板取り付けからDINレール取り付け、直付など各タイプが使い分けされている。

端子台と配線の接続時に、圧着端子を使用したネジ留め式が日本では主流として使用されている。このネジをばねと一体化して、配線作業時にネジが保持され、ばねで仮留めできるタイプが、配線作業性が良いことから普及が進んでいる。

バネ式端子台は、長期間の振動にも強く、振動によるネジの緩みも少ないことから、鉄道などの輸送機器・設備などにも採用されている。

これに対し、圧着端子を使わないで、配線をそのまま端子台に差し込んで配線する、いわゆる欧州式端子台が急速に増えている。配線時の被覆作業が省け、配線作業性が良いことに加え、振動などによる接触不良の心配もないことから、日本でも使用が増えている。専用の配線工具もそろっており、作業のスピードは格段に速くなってきている。

従来は、国内市場向けは圧着端子付き端子台を使用し、輸出機器には欧州式の端子台を使用することが多かったが、最近は市場のグローバル化もあり、海外販売の割合が高くなってきていることから、こうした2つの使い分けをやめて、欧州式の端子台に一本化する傾向が強まってきている。

欧州式端子台は今まで、比較的小電流タイプの端子台が多かったが、1500V・200Aクラスの高電流用途でも使用できる、電線径95㎟クラスの製品も開発されており、今後1000Vクラスでも採用が増えてくるものと見られる。

さらに、メガソーラーなどのDC用途でも使える定格絶縁電圧DC1500Vクラスで開閉可能な端子台も開発されるなど、新製品開発も盛んに行われている。

省配線化ニーズに対しては、コネクタと一体化したコネクタ端子台や、端子台にサージアブソーバー素子やリレー、スイッチ、断路器、ヒューズ、LEDなどを搭載して複合化したハイブリッド端子台なども販売されている。省配線・省スペース化、配線作業の省力化などに貢献するとして、普及が進んでいる。

安全確保と作業の効率化を両立させた端子台として、圧着端子と端子ねじを正常な位置関係に規制する、配線脱落防止機能を備えた端子台が、工事現場などで配線脱落事故を未然に防ぐ端子台として需要が拡大している。

使用現場でのアース工事が不要で、非本質安全端子側の配線は電源2本とコネクタだけで、配線工数の大幅削減につながる防爆構造タイプの製品もある。国内の防爆規格やNK規格、さらに欧州のATEX、米国のFM、カナダのCSAなど海外規格にも対応している。
スタッド形の需要も増加

さらに、配線作業の容易化・省力化を図る意味でスタッド形端子台の需要も増えている。スタッド形端子台は、配線作業が容易で作業の省力化が図られるとともに、配線効率が高いのが特徴である。加えて、挟み込みなどの接続不良を未然に防止できる効果もある。

配線作業の省力化を図る配線工具も各種使われているが、最近は電動式工具も登場している。電線の被覆と圧着作業がたった2秒で完了するもので、力の弱い人でも簡単かつ高速で行えることから、配線作業の効率化につながる工具として普及が見込まれている。

端子間ピッチ8ミリという、スペース効率の向上を図った断路端子台も各種のプラントで採用されている。
アルミ合金で軽量化

端子台のさらなる軽量化とコスト低減を図るため、端子部にアルミニウム合金を採用したアルミ端子台も発売された。端子部を従来の銅合金からアルミ合金にすることで、端子部の重量を10~30%軽量化できる。

コスト的にもアルミの原材料価格は、銅よりも3分の1から4分の1と安く安定しており、熱伝導性と放熱性に優れ、腐食しにくいアルミ電線の配線にも適しており、様々な産業分野で使用できる。
コネクタは、自動車や鉄道車両、放送機器、電話などの通信機器、事務機器、家電製品、ゲーム機器など幅広い裾野の産業で使用されている。

中でも工作機械やロボットなどの産業機器、鉄道や放送など社会や業務用分野では、大電流で、しかも厳しい使用周囲環境にも耐える仕様が要求されている。こうした堅牢ニーズに対応したコネクタは、一般的に金属製のハウジングが多いが、これをポリアミド材で成形しながら頑丈なハウジングを実現した製品も登場している。金属製に比べ軽量で、コストパフォーマンスも高いことから、今後採用が増えてくるものと思われる。

ユニークなコネクタとして注目されているのが、PCB端子台とコネクタの機能を併せ持った製品で、コネクタがヘッダ内に格納されるため、高さが本体とほぼ同じになることで、スペースが有効に使える。

圧着端子やネジ締めも不要なため、配線も簡単にできる。機器内のボード交換などメンテナンス用途に好適なコネクタと言える。

コネクタの配線ネジ締め作業が従来に比べ90%削減できる製品も登場している。コネクタのネジ部を半回転させるだけで作業が完了する。

安全ニーズに応えたセーフティコネクタの採用が増えている。配線接続作業時や計測作業時の不用意な接触事故を未然に防げる構造となっており、工場や研究室、学校の授業などで採用されている。

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