制御機器各社は、配電制御システム業界に営業攻勢をかけている。社会インフラのひとつである産業用太陽光発電の新設増加に伴い、関連電気設備の接続箱・集電箱、受電盤、パワーコンディショナーが好調なことから、制御機器各社が新製品を投入し市場獲得に乗り出している。制御機器商社ルートを使い売り上げ増加につなげる方針である。
太陽光発電の新設が好調だ。住宅用に加え、産業用が急拡大している。
メガソーラーや中小規模の太陽光発電設備の伸びは、今後住宅用を上回る見込みである。そのため、産業用接続箱・集電箱、受電盤、パワーコンディショナーメーカーは引き続き受注増加が見込まれる。
矢野経済研究所の調査によると、2012年度の新エネルギー用パワーコンディショナー市場規模は、前年度比185・9%の940億円(メーカー出荷金額ベース)と見込み、今13年度も好況が続くと予測している。15年度には1593億円に達する。
太陽光発電電気設備では、接続箱、受電盤、パワーコンディショナーが一体で施工されるため、三者同一の受注動向をたどる。接続箱・集電箱、受電盤も同様な伸びが期待できる。
こうした太陽光発電設備市場の好調に支えられ、配電制御システム業界は、今年度第1四半期も受注が前年同期を10%近く上回っている。早くも今年度の売り上げ目標を上回ると予測するところも出始めている。
「都市再開発と太陽光発電設備の受注増加で忙しさが増している。よほどの経済減速が出ない限り、今後数年間は成長が望めると思う」と先行きも明るい見方である。
制御機器各社は、好調な配電制御システム市場に食指を動かし、端子台、保護継電器、開閉器類などの新製品投入に注力している。
オムロンが逆流防止リレーを開発、WashiON共立継器は太陽光設備の効率改善へ定格絶縁電圧600VDCソーラーリレーなどを発売した。パナソニックはAC・DC側の安全遮断や太陽の位置検出用リレー、富士電機はディジタル多機能リレーや保護継電器などをアピール。
また、端子台各社も産業用太陽光発電用の定格絶縁電圧1000V高圧型端子台、同断路端子を相次いで開発や仕様変更し発売している。
直流開閉器や高圧真空遮断器も大手電機各社や制御機器各社が新機種を市場に投入している。
オムロン、IDECは、大手電機各社のシェアが高いパワーコンディショナーにも進出した。
欧米制御機器メーカーも、積極的な市場開拓に取り組んでいる。
制御機器各社は、主要市場である半導体製造装置、工作機械、運搬機械などの業種が伸び悩んでいるなかで、配電制御システム業界は受注が高水準で推移していることから、営業を強化し売り上げ増加を図りたいとしている。そのため、配電制御システム業界が盤用機器や配線資材を購入している制御機器商社ルートの依存度をこれまで以上に高めていく。