自然と人力の調和が試されている気がしてならない。東日本大震災の被災地にある観光地は、未だに閑散としている。避暑を目的に、例年なら賑わいをみせる所でも扉を閉ざしたホテルや施設が散在している。人影がまばらで、侘しさよりも憤りが先に立ったものの、その怒りを持っていく場がなかった。地元の人たちはもっと深刻である。
大震災を教訓に、着実に移動を始めた地域もある。駿河湾から静岡県の内陸部を震源域とする、いつ発生してもおかしくないと考えられている東海地震に備え、浜松市では三方が原や都田方面へ引っ越す企業や住民が増えている。そのため、交通などインフラの整備が進み、土地の価格が値上がりしていると聞く。
日本の自力再生に、世界の支持が加わり、2020年の東京五輪開催が決まった。日本は、世界史で例を見ないような長期デフレ下で発生した自然災害に打ち砕かれた。そして、復興の最中に、オリンピック開催に手を挙げた。二重、三重の国難に対し世界の人々が支援の証しとして、開催決定を後押しした気がする。これからは、当然のことながら復興作業に加速度がつく。
東日本大震災の復興、原発事故の後始末にあと数年はかかるだろう。そして、その後の数年間はオリンピック開催に向けての投資が実行される。が、その投資は、安心安全な国づくりのためのものであってほしい。自然を受け入れ、人力と調和する日本の新しい姿を世界に披露することが、世界の国々に対する感謝の印となる。配電制御システム業界や制御機器業界もかかわる一大事業である。