今年の自動認識市場は、昨年に続き上昇傾向が続く見通しである。消費税率変更による需要増加、製造業の設備投資増加、UHF帯RFIDの周波数移行などの好材料が例年以上に出そろっている。とくに、UHF帯RFID周波数移行に伴う市場の拡大に期待が寄せられ、リーダ・ライター各社から新製品が相次いで発売されており、今月25日から東京ビッグサイトで開催の自動認識総合展では新製品の競演となりそう。(関連特集6面)
日本自動認識システム協会(柵木充彦会長)は、自動認識機器の市場動向調査結果を発表したが、2012年の出荷額は前年比8・9%増の2297億円。13年も前年比2・4%増、2351億円を予測している。
好調が続く要因として、来年4月1日から消費税率が5%から8%に上がるのに伴い、価格改定需要が出る。また、景気回復による製造業の設備投資増加、RFIDのUHF帯での周波数移行による需要増、NFC(近距離無線通信技術)を利用したアプリケーションの拡大、スマートフォンやタブレットとの連携、特定大手運輸業への特需などが見込まれる。
とくに、UHF帯RFIDの周波数移行は法的規制によるものだけに、リーダ・ライターの買い替え需要が出てくる。
総務省は、950MHz帯を含んだ周波数帯を携帯電話用に割り当て、RFIDの周波数帯を920MHz帯に移行することにした。新UHF帯へ移行するのに必要な費用の補助も行われることから、リーダ・ライターについては、来年3月末までに買い替えが進むと見られる。
こうした市場動向に対し、リーダ・ライター各社は新周波数帯920MHz対応の新製品を一斉に発売している。UHF帯RFIDタグの読み取りのほかバーコード、2次元コードにも対応できる性能を備えている。
UHF帯RFIDは、長距離からデータが読める、非接触で複数の対象物を一括で読み取れるなどの特徴を持っている。大手アパレル業界やパレット管理などに採用されているが、用途の範囲が広がる方向にある。
UHF帯RFIDリーダ・ライターの需要拡大が期待できるため、今年の自動認識総合展では、新製品が数多く出展される。テーマコーナーでは、日本物流システム協会がRFIDチップと表示を一体化した物流工程の見える化を提案し、自動認識用タグとしての具体的な活用法を紹介する。