FAセンサは、ものの有無や計測、判別用などで大きな役割を果たしている。最近は工場内だけでなく工場の外での使用も増えている。市場規模は、日本電気制御機器工業会(NECA)の2012年度(12年4月~13年3月)の検出用スイッチ出荷統計によると、1008億円となっており、非常に大きな市場を形成している。主要市場の半導体製造装置関連が世界的に回復傾向にあるほか、自動車業界も国内外で堅調に推移している。機能も、4種類のプログラムを内蔵することで、薄物から厚手シートまで検出可能な超音波センサや、白色LEDの色のバラツキや明暗が判別できるセンサも登場するなど、アプリケーションが拡大している。
FAセンサ市場は、半導体製造装置分野、自動車関連分野、工作機械分野、電子部品分野、食品・薬品・化粧品の3品分野などのFA分野のほか、FA分野以外でも、センシングを支える制御機器として大きな市場を形成している。市場規模は、NECAの検出用スイッチ出荷統計によると、11年度は1062億円(前期比6・9%減)、12年度は、半導体や電子機器市場の設備投資抑制などの影響で1008億円(同5・0%減)となった。13年度の第1四半期は、半導体製造装置分野での設備投資の復活と、自動車やスマートフォン関連を中心に堅調な動きを見せており、同2・5%減の260億円と上向きつつある。
台湾が5四半期連続1位
FAセンサの需要が大きい半導体関連市場は、日本半導体製造装置協会が発表した、13年第2四半期の世界の半導体製造装置販売額によると、前年同期比27%減の75億5000万ドルだったが、前期比では3%増と増加、四半期ごとの販売高では12年第4四半期を底に、2四半期連続でプラス成長となっている。
地域別では、台湾が他地域との差を拡大し、5四半期連続の1位となっている。中国市場も前期比、前年同期比とも2桁増の高い成長を見せており、販売額では日本を抜いて4位となり勢いがうかがえる。韓国も前期比で増加しており、北米を抜いて2位に返り咲いている。
また、13年第2四半期の世界の半導体製造装置受注額も、前期比18%増の91億7000万ドルとなり、12年第3四半期を底に3四半期連続で増加している。
国内市場は、日本半導体製造装置協会が発表したBBレシオによると、昨年は1以下の月がほとんどだったが、今年は1月1・18、2月1・17、3月0・96、4月1・11、5月1・17、6月1・40、7月1・19(暫定値)で推移。今年に入ってから販売額より受注額が上回る傾向が続いており、世界的に半導体業界が回復期に入っていることがうかがえる。
特に、半導体が多く使用される電子機器市場は、スマートフォンやタブレット端末が順調に成長している。新製品も数多く登場しており、今後も期待できる分野であることに間違いない。
自動車市場は、日本自動車工業会の7月の車種別生産台数統計では、普通車が前月比0・6%増と12カ月ぶりに増加、軽四輪車も同5・5%増で5カ月ぶりに増加している。自動車や工作機械が関連するロボット関連市場は、日本ロボット工業会によるマニュピュレータ/ロボットの13年第1四半期の受注台数によると、前年同期比4・8%増の2万8467台で、6四半期ぶりにプラスに転じている。半面、受注額は同3・3%の減少で、8四半期連続のマイナスとなっており、好転の兆しが見られるものの先行きは不透明としている。
3品業界の需要が拡大
こうした分野以外に、FAセンサの大きな市場として成長している食品・薬品・化粧品の3品業界は、製造ラインにおける各種の認識・識別、不良品検知などの用途で、需要が引き続き拡大している。最近発売されたティーチング不要の超音波センサは、新しいアルゴリズムの採用により判別性能がアップ。4種類のプログラムを内蔵することで、薄物から厚手シートまで検出可能となっている。特に、シートやアルミカップの2枚重なりの検出用途などで好評である。このほか、超音波エッジセンサは、光学センサでは難しい透明フィルムのエッジ位置の検出も可能にしている。
市場が急拡大しているLED関連では、白色LEDの色のばらつきや明暗を同時に測定するパッシブ式色調センサが注目されている。特に色比率判別出力と明るさ判別出力の2出力により、LEDのムラ検査工程に採用されている。
こうした新しいセンシング機器に加え、節電・省エネに絡む電力監視分野やモニタリング分野でもFAセンサの需要が着実に増加している。
FAセンサの中で、最も市場が大きい光電センサは、LEDや半導体レーザを光源にした非接触センサで、検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがある。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、配線工数や設置工数を半減できるメリットがある。超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、DC電源で使え応答速度が速いアンプ内蔵型、AC電源で使え取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。FA分野では、隙間などにも取り付けられ、光ファイバー部を交換するだけで様々な用途に対応できる光ファイバー式のアンプ分離型の需要が多い。
半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいなどの理由から光電センサの使用個数が増加、大きな市場を形成している。小型化と長距離検出、高い保護特性などが著しく、検出距離50メートル、保護特性IP69Kなどの製品も伸長している。
ローエンドセンサ伸びる
食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出といった分野では、カメラ、照明、カラーモニタを一体化したローエンドセンサの需要が伸びている。同センサは、色面積や印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサや提案解決型センサなど専用センサの需要が高まっており、余分な機能を省くことでローコスト化が図られている。
光電センサは、オートチューニング機能など使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバー式光電スイッチもある。デュアル感度補正機能は、ファイバー先端に汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がないという特徴を持つ。
あらゆる対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサは、帯状に広げたレーザ光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測する。
一方、近接センサは、耐環境性が良く、高温・多湿、防爆雰囲気、水中など、他のセンサにはない独自の特徴から、工作機械、ロボット向けなどを中心に光電センサとは異なった市場・用途を形成している。振動や衝撃による緩みを防止できるタイプや、6ミリ角の超小型タイプも製品化されている。オールメタルタイプも増え、金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる。
検出距離は、数ミリから数十ミリが一般的だが、300ミリぐらいまで対応が可能である。近接センサの磁気検出方式を応用したものでは傾斜センサがあり、磁気式のほか光式、メカニカル式などがある。
ノイズに強い変位センサ
変位センサは、対象物の高さや幅・厚みを測定する。白色同軸共焦点測定方式により、高精度を維持しながら、従来の三角測距方式の変位センサ方式では実現できなかったセンサヘッドの超小型・軽量化を実現している。対象物の素材や色に影響されない安定した測定を可能としており、ノイズに強い構造で装置への組み込みに適している。
安全対策用センサは、世界的な安全意識の高まりを背景に市場が拡大している。エリアセンサやマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様なセンサが用途に応じ使い分けされている。ライトカーテンは、国際安全規格に対応した高機能のセーフティライトカーテンの需要が高い。さらに設計や取り付け・調整にかかる工数を大幅に削減し、複雑なアプリケーションにも対応が可能である。そのほか、防犯対策の高まりから、各種の防犯用センサも伸長している。圧力センサの耐環境性向上
圧力センサは、小型・軽量化、使い勝手の良さとともに、耐環境性や温度特性の向上などが図られている。ミストを含んだ空気、水、油など、流体や環境を選ばないハイエンド圧力センサなども普及しており、半導体抵抗素子や静電容量素子を用いた電子式圧力センサの需要が拡大している。
レベルセンサは、液面や粉体面のレベルが設定レベルになった時に信号を出力するセンサ。一般的にタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用される。最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、レベルセンサが重要な働きをしている。さらに、自動車などのオイル系統の管理に採用されているほか、外食産業用にも採用され、新規市場への浸透が進んでいる。レベルセンサに温度センサを内蔵し一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減も図られている。
流量センサは、高温液体を使用する金型温調器の流量管理や、冷却水を使用するダイカスト金型、焼き入れ装置のコイル冷却水の流量管理、ビンの洗浄に使用される精製水の供給管理、純水や薬液を使用するウエハー洗浄液、基板洗浄液の供給管理などの分野で活躍している。
一方、知能ロボット向けに開発された測域(レンジ)センサのアプリケーションが拡大している。測域センサは、周囲の障害物などの状況を把握するセンサで、知能ロボットに必要なセンサである。レーザ光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心に平面地図のような測域情報を得ることができる。
同センサは、長距離で高感度の検出が可能なので、最近では立体駐車場や、トンネル前における車両の高さ検出など、屋外や交通分野、さらに安全分野を中心に用途が拡大している。「安全カテゴリ3」に対応した製品も登場し、セーフティへの対応も進んでいる。
伸長著しい人体検出センサ
FA分野以外では、有料道路のETC(料金自動収受システム)や、鉄道などICカードを採り入れた自動改札システム、さらに、各種防犯設備などで市場が拡大している。特に各種の赤外線を使った人体検出センサは防犯効果が高く伸長が著しい。
MEMS技術を応用したセンサでは、フローセンサ、加速度センサ、さらに非接触温度センサなどが挙げられる。フローセンサは、外乱による影響が少なくなり、より高速応答を実現している。高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で照明環境に強く、静止している人もセンシングする。店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策へ活用できる。
MEMSセンサの採用広がる
最近では、民生機器分野でMEMSセンサの採用が拡大している。例えば、加速度センサは任天堂のゲーム機「Wii」のコントローラに、角速度センサ(ジャイロセンサ)は、デジタルカメラの手振れ補正などに応用されている。
現在、MEMSセンサは、力学的な情報を取り込む用途が中心であるが、次世代のMEMS技術を応用したセンサとして、ガス・センサや生物センサなどが研究開発の段階に入っており、アプリケーションとともに、検出対象が拡大しつつある。