プロセスオートメーション分野でのフィールドバス通信の団体「フィールドバス協会」と「HART協会」の2つが統合について検討に入った。今後、インテリジェントフィールド機器通信のニーズに貢献する新しい協会の設立に向けて調査チームを編成し、2014年中頃までに結論を出す。
HART協会は、93年に設立され、会員数は約270社。HART通信プロトコルの技術を有する。一方、フィールドバス協会は94年設立で、会員数は約490社。FOUNDATIONフィールドバス技術の普及に取り組んでいる。
今回、両協会のリソースと技術を一つに融合することで、エンドユーザーにフィールド機器通信、およびインテリジェントフィールド機器管理など、あらゆる側面で利益と解決策をもたらし、機器サプライヤーにも技術資源の効率的運用、一貫した機器/ホストシステム登録手続き、会員サービス/技術サポート品質の著しい改善などの利益をもたらすことが期待されている。また、2つの通信プロトコルのあらゆる観点での調和をもたらし、プラント操業および保守管理の容易化につながる可能性を有している。
両協会は過去に、デバイス記述言語(EDDL)の国際標準化作業や、最近のフィールド機器情報統合技術(FDI)の国際標準化作業で協働・協力してきた。
統合する場合は、対等で合併することを前提としており、新統合組織では、協力/連携関係をより深めるとともに、教育訓練、セミナー、製品試験/登録、展示会出展/講演会開催などのイベント企画、WebやSNSの活用といった各種活動が統合でき、スケールメリットを発揮した活動の強化につながる。
統合後の新協会の目標としては、(1)双方が所有する既存の技術協力を進める(2)デジタルフィールド機器の高度な利用を促進する統合マーケティング施策を施す(3)製品/サービス品質を改善する(4)フィールド機器市場におけるデジタルフィールド機器の占有率を拡大するなどを掲げている。
協会統合には、まだデュー・ディリジェンス(相互資産・法的調査)に関連した検討項目が多く残されていることから、会員企業の既得の権利、双方のエンドユーザーを含む広大な産業オートメーション市場の利益を損なわないよう検討を進めていく。
また、フィールドバス協会、およびHART協会の技術仕様は個々に継続・発展させ、それぞれのブランド名、商標、知的財産および著作権など、通信プロトコルごとに将来にわたり維持継続して使用していく方針。