産業用PCは、工場など過酷な使用条件下で長時間稼働するため、国産産業用PC各社は、高機能・耐久性とともに保守を含めた長期安定供給体制をセールスポイントに加え始めた。
機械・装置への繰り返し使用や将来のシステム拡張・増設にも対応できることを産業用PCの付加価値として営業展開を強めている。
産業用PCは、生産自動化装置、検査・分析装置などへ採用されているほか、物流、通信・放送、交通、上下水道、電力・ビルなどの社会インフラシステムにも用途が拡大している。
国内産業用PC各社は、ユーザーニーズの多様化、拡大に伴い、高性能化や拡張性、長寿命化など機能の強化に努める一方、高温度や振動など使用環境の厳しい条件下でも、長時間連続稼働に対応できる強度や頑丈性を追求し、商品化してきた。
こうしたハード・ソフトの進化に加え、近年は長期安定供給への要求が強まっている。産業用PC組み込み機械や装置の長期使用、柔軟な生産システムの構築などにより、産業用PCの繰り返し採用や段階的なシステム拡張・増設が行われるようになってきた。
そのため、産業用PCメーカーとしてもこれらのニーズに対応し、販売面での付加価値アップへ、安定長期供給、保守の長期化に乗り出した。製品発売から3~5年間は製品供給を維持し、保守も製造中止後7~10年(オプション)の長期保証を強調している。
東芝社会インフラシステム社は、機種により異なるものの販売開始後5年間の製品供給を保証するほか、製造終了後7年間の保守、さらにオプションで保守期間を3年間延長するロングライフ対応も行っている。また、今年2月には中国保守サービスを開始した。
日立は、3年間の長期供給保証と最長10年間の長期保守を行っている。無償サービス体制も強化している。
NECも同様の体制である。例えば、今年10月28日出荷開始の「FC―P30Bシリーズ」は、3年間の長期供給、10年間の保守サービスを行う。
アルゴシステムは、組み込みコンピュータ、タッチパネルコンピュータ、産業用PCに対し生産中止後、7年間の範囲で修理を実施する体制を敷いている。
コンテックは、通常修理保証3年の製品に対し最長6年間、1年の通常保証で最長5年間のサービスパックを用意している。
こうした長期安定供給、長期保守体制は、ユーザーが安心して購入できるようになることから、産業用PCの市場拡大をより一層促すことにつながりそうである。