秋は、彩り豊かな景色に包まれる。関東平野部ではまだ、稲刈り後に小鳥が集まり餌を啄ばんでいるが、標高1千メートルを超える関東の山間部や渓谷は、ナナカマドが真っ赤に染まり、もみじも追うように紅色の化粧をし始めた。時季の移ろいがもったいないと感じるときでもある。
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紅葉は寒暖差が大きいとき、美しい。真っ青な空に向かって、もみじの深紅の葉を下から見上げたときの感激は後々まで記憶に残る。産業界も青空がのぞき始めた。公共投資に続き、民間設備投資を覆っていた暗雲が彼方に移動しつつある。深い谷間にあった経済に、ようやく薄明りが差し込む。経済成長の頂きに向けての動きに応じて、FA制御の新技術や製品も浮き上がってきた。
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これらの製品は展示会で見てとれる。11月6日には、FA制御機器、計測器、ロボットそして鉄道技術の4つの展示会が同一期日に開催される。いずれも、わが国の誇る技術領域である。今回の展示会は、出展社の力の入れ方が例年にないほど大きい。テーマを持って来場する技術者や開発企画者の頭になかった角度からの斬新なヒントを提供する。
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FA市場活況に向けて協力者も出てきた。「産業競争力強化法案」が閣議決定され、会期12月6日までの第185回臨時国会に提出される。産業競争力の強化の観点から「規制改革」の実行や、「産業の新陳代謝」を加速するためのベンチャー支援や事業再編などが促進される。設備投資にも好影響が期待できる。美しい成長線を描くための「天」と「地」の条件が整う。