日銀の「さくらレポート」は、各地域の景況判断材料として、多くの企業が関心を寄せている。今月の発表では、前回7月と比べ、全ての地域で矢印が右肩上がりとなった。アベノミクスへの期待と東京オリンピック開催決定で、景気の先行きに安心感が広がり、消費者や企業活動の背を押した。▼
設備投資や生産活動では残念ながら、北海道から九州・沖縄地域まで一様に上向きとまでは読み取れない。北陸や関東甲信地域は、面白いように前回も今回も設備投資の報告は一字一句違わない。北陸は「製造業を中心に底堅く推移している」、関東甲信は「非製造業を中心に増加基調にある」と一行で表現している。近畿地域も今回の報告は「持ち直している」のみである。
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FA業界では、シェアの高い地域の設備投資や生産動向がどうしても気になる。関東甲信地域は、全国設備投資額の4割を超え、近畿地域も東海地域に次いで3番目に大きい。だが、両地域は設備投資を軽い文章で済まし、生産活動についてもわずかな文字数で抽象的な文言である。景況の実態は、横ばいなのでは、と疑ってしまいたくなる。▼
企業は『商いは足で稼ぐ』を実践している。最前線の報告がこのような内容では、おそらく許されない。もっと現場を見てこいとやり直しを命じられる。一軒一軒情報を収集し、顧客の微かな変化を見逃さずに詳しい報告書を作成する。販売員だけでなく、企業トップも足を使う。ある商社のトップは、毎年2回、数百件の顧客を訪問する。それだけの信念と行動力が情報の信頼を厚くする。