横河電機は、プラントなどで使用される各種センサの開発・製造企業向けに、センサに取り付けるアンテナ一体型無線通信機の販売を12月から開始することになり、最初の提供先として、ガス検知器メーカーの新コスモス電機(重森徹志社長)と、無線技術に関するライセンス供与契約を締結した。この通信機の提供により、ISA(国際計測制御学会)が定めるフィールド無線システムの通信規格ISA100・11aに準拠した無線センサの開発期間の大幅短縮につながる。
同社では、無線通信技術をプラントのどこにでも適用できる環境を表す「Wireless
Anywhere(ワイヤレス・エニウエア)」をフィールド無線システムの新たなビジネス・コンセプトとして策定し、ISA100Wirelessの普及に取り組んでいる。
プラントでの温度、圧力、レベル(液位)、ガス濃度、振動などの測定に使用されるセンサをフィールド無線に対応させ、実際のプラントに適用可能な製品とするには、無線技術や、各国の電波法、防爆規格への対応などさまざまな取り組みが必要。フィールド無線システムの開発を通じて培ってきた技術とノウハウを盛り込んだアンテナ一体型無線通信機を提供することで、センサメーカーはセンサに搭載する通信インタフェース回路と電源などを用意し、センサにアンテナ一体型無線通信機を取り付けるだけで、ISA100Wireless対応の無線センサを実現できることになり、無線センサ開発期間の大幅な短縮が可能になる。
また、センサメーカーは、無線機能の部分に関する電波法や防爆認証の改めての取得も不要で、手間も省ける。
本体サイズは、防爆型アンテナとしては極めて小さい直径約23ミリ、長さ約116ミリと小型で、100グラムの軽量化を実現。
新コスモス電機は、プラントで多くの実績をもつガス検知センサをフィールド無線に対応させることを検討している。
フィールド無線システムに採用しているISA100・11a規格は、高い信頼性、アプリケーションの多様性、ネットワークの拡張性、FOUNDATIONフィールドバス、HARTPROFIBUSなどの有線通信規格と整合性を持つ。
現在、国際標準規格案「IEC62734」としてIECで審議されている。