設備投資は製造業へ広がりを見せてきた。社会インフラ系が先行し、FA系は底を脱し上向きに転じた。社会インフラ系は産業用太陽光発電が牽引し、ビル建設の増加傾向が続いている。FA系も今年第1四半期から輸出が伸びていたが、ここにきて国内も設備投資が抑制から増額へ転換したことから上向き状況にある。国内市場は引き続き増勢傾向が続くと予想されており、電機、制御、配電制御システム業界では今年度2桁伸長企業が続出しそうである。
社会インフラ系に次いで、FA系の設備投資が増えている。
日本建設業連合会によると、大手ゼネコンの9月国内受注実績は前年同月比117・7%と急増。このうち、製造業からは繊維、電気機械、その他機械が大幅に増加し47・6%増である。国土交通省発表による8月設備工事業の受注額は、前年同月比9・2%増加であるが、民間の計装工事も8・1%伸びた。ビル、工場の各種設備を制御するための設備設置工事が増えている。配電制御システムの受注も引き続き前年を上回る傾向にある。
これらの受注増加は、電機、制御各社の業績に好影響をもたらしている。
社会インフラ系では、日立製作所の社会・産業システム部門は、今年度上期累計売上高が5973億円、前年同期比10%増。鉄道システム事業が堅調であるほか、エレベータ事業が中国向けに好調である。
東芝の社会インフラ部門は、上期1兆2118億円を売り上げ、前年同期比5・8%増となった。太陽光発電、産業用機器が伸長。また、同部門へ注力するため、社会インフラ事業グループを電力・社会インフラとコミュニティ・ソリューションの2事業に分割する。
日東工業の上期売上高は、前年同期比38%増の354億7000万円。社会インフラ系の配電盤が12・8%伸びた。通期でも26・2%の950億円と大幅増加を予想。
FA系でも回復が顕著になっている。
三菱電機の産業メカトロニクス部門の上期売上高は、5064億円で前年同期比11%増と2桁台に乗せた。第1四半期は前年同期比7%増であり、第2四半期の伸びが大きい。
オムロンの制御機器事業(IAB)は、上期売上高1380億円、前年同期より6・3%増えた。電子部品事業(EMC)は、488億円、同14・5%増。通期ではIABが2830億円、同7・6%増、EMCが980億円、同16・5%増と下期の伸びを見込む。国内は半導体、自動車関連投資などが穏やかな改善傾向と見ている。
アズビルは、上期売上高1112億円、前年同期比で6・25%増加した。海外の売り上げが貢献した。受注高は1376億円あり、下期の伸長が見込まれる。通期では2500億円、同9・8%増を予想。
安川電機は、上期が太陽光発電向けパワコンを中心に大幅伸長し、売上高1772億円、前年同期比17・7%も増えた。通期でも3600億円へ100億円上方修正した。FA系のモーションコントロール、ロボットが伸長。
IDECは、上期売上高176億2000万円、19・6%の大幅増加。仕向け先別では、国内は太陽光発電用電力マネジメントシステム関連製品が大きく伸び、119億6000万円、同18・1の伸び。全体の下期は制御装置・FAシステム製品が急増し、通期で355億円、同21・0%増と好調を持続する。
パナソニックデバイスSUNXは、上期売上高207億8000万円、前年同期比7・2%増。国内は半導体・液晶関連、自動組立機向け低迷の影響を受けたが、中国での売り上げが大きく伸びた。海外先行の回復で、国内は下期から伸びる見通し。通期では400億円、同6・5%の増加を予想。
FA系各社は輸出先行で売り上げを伸ばしているが、下期からは国内需要増加が見込め、久しぶりに国内外市場の先行きが明るくなる。