キャビネット・ボックス・ラックは、IT分野でDC(データセンター)、社会インフラ分野でPV(太陽光発電)システムやスマートグリッド関連、FA分野で工場の省エネ化関連など堅調な拡大を見せている。
熱対策、省エネ対策、セキュリティ対策、地震対策、軽量化、省施工、防塵・防水性、環境対応などが重要なポイントとなっている。
熱対策としては、屋外用では遮光板を設け直射日光による温度上昇を抑えたり、扉やボディーに換気口を設け、放熱効果を高めたりしているものがある。パンチング材の採用により通気性を持たせ、天井面のスリット加工と突き出し扉の上面スリット加工により、天井コーナー部の熱がスムーズに排出され、背面から抜け出せずに回り込んだ熱が突き出し扉の傾斜面からスムーズに排出される仕組みを取ったりしている。
冷却用のファンやクーラーなども活用が増えている。電子機器は熱に弱いことから、盤内の温度上昇を抑えるノウハウは色々な観点から通り組まれており、冷却システムが大きな鍵を握っているともいえる。
最近増えている粉体塗装は、耐久性(耐候性・耐塩性)に優れた高厚膜が得られ、塗料は回収して使えるため省資源で、しかも有機溶剤を含まないため環境にやさしいことが評価されている。
地震対策として、耐震、免震、制震などを考慮した取り組みも行われている。
耐震は、地震の揺れに耐える、免震は構造物と設置面の間にベアリングやすべり材を設置し、構造物に直接揺れを伝えないようにする、制震は揺れを吸収する技術。2次災害を防ぐ上で有効。
FAセンサは、主力工場内で使用する産業分野を中心に、工場の外などにも用途を広げている。FAセンサのセンシング技術を求めるニーズが高まっているためだ。
代表的な非接触センサである光電センサは、LEDや半導体レーザを光源に、長距離や微小物体、狭隘場所など、用途に応じて各種使い分けできるのが大きな特徴。
近接センサは水や油、埃などが多い悪環境下でも使用でき、形状も小型で埋め込み使用できるなどの特徴を持つ。
今後、市場が広がると期待されているのがビジョンセンサである。従来のビジョンセンサはプログラム設定が面倒であったが、最近は光電センサ感覚で使用できるなど操作性が向上している。形状も小型化が著しく、取り付けスペースの制約がなくなりつつある。
エリアセンサやマットスイッチ、ライトカーテンなどの安全対策用センサは、作業現場の安全を確保するセンサとして使用され、これも小型化が著しい。測域センサは、長距離・高感度の検出が可能で知能ロボット向けの採用が進むほか、立体駐車場や高速道路分野など屋外向けアプリケーションも拡大している。
こうした非接触センサに対して、マイクロスイッチやリミットスイッチといった有接触センサの良さが見直されている。メカニカルな目に見える動作が、確実な動作を求めるニーズに合致しており、コストの優位さも加わり、使用する用途によっては有接触センサを求めるケースが増えつつある。一方で、MEMSセンサなど、超小型センサのニーズは今後も増加することは確実で、二分化が進みそうだ。
端子台、コネクタ、配線資材などの配線接続機器は、制御機器を陰から支えている。
端子台は、小型・薄型化とともに、配線作業の効率化や容易化、安全性の向上、接続信頼性の向上が進んでいる。さらに省配線ニーズに応えるため、コネクタ化や複合化など高付加価値化が進んでいる。特に、欧州タイプと言われる圧着端子を使用しない端子台の採用が、接触信頼性、配線作業の省力化がなどから増加、配線工具も電動式なども登場して一層使いやすさが増している。
端子台のさらなる軽量化とコスト低減を図るため、端子部にアルミニウム合金を採用したアルミ端子台も発売され、今後の動向が注目されている。DC(直流)機器の普及に伴い高圧化・高電流化に対応した製品の開発が進んでいる。
コネクタは、家電や情報機器、アミューズメント、車載、産業分野、再生可能エネルギー分野など幅広い需要がある。ここに来て携帯電話市場から、イーサネット通信の定着でFA用途に期待が高まっており、小型・スリム化、低背化、SMT対応などに加え、配線作業の容易性や、保護構造、安全性が重視されている。食品機械用途ではIP68/69Kなど水に対する保護構造が求められる。車載分野は高い電流や電圧、激しい振動、急激な周囲温度の変化などの対応が行われている。
PV(太陽光発電)や電気自動車向けの充電スタンドといった新たな市場も出てきている。
一方、ケーブルを結束するケーブルアクセサリ類は、太陽電池関連や航空機関連など、屋外でのアプリケーションが拡大している。
操作用スイッチは、機械や装置のインターフェイスを担う重要な制御機器で、工作機械やロボット、自動車製造などの産業分野のほか、アミューズメント機器や放送機器、セキュリティ機器など、幅広い分野で使われている。
機器全体の小型化に伴い軽薄短小・低背化が進み、操作感覚の向上や確実な切り替え性能など信頼性の向上、さらに安全性とデザイン性の両立などの改良が進んでいる。
照光式スイッチはLEDによる高輝度化が進み、視認性、長寿命性、メンテナンスの効率化が進展。また、ベゼル高2ミリ前後の薄型タイプの開発が盛んに進められており、デザイン性と誤動作防止という機能性を両立している。指で操作するという点から、今後は小型化だけでなく、こうしたデザイン面での差別化も進みそうだ。
同時に、配線や取り付け時の作業性を工夫した取り組みも進んでいる。高輝度化も、LEDチップの使用数を減らして省エネ化を図りながら、レンズ面の改良でより明るい照光を実現する取り組みが行われている。
フットスイッチは、従来の工作機械用途中心から医療機器や食品分野にも採用が広がっている。保護構造に優れた防浸・防水性能が高いフットスイッチの開発が進み、こうした用途で安心して使用できると評価されているためだ。市場が海外にも広がっていることで国際規格の取得も目立つ。
ひとつのスイッチにメッセージ表示部を内蔵することで、多機能な使い方ができるスイッチも用途が広がっている。液晶や有機ELなどで文字などを表示し、ツリー検索としても使用できる。
リレーは、古くて新しい部品でいまでも圧倒的な存在感を有している。小型化、低消費電力、長寿命、高信頼性、高周波特性、静音性、安全性、環境性などが重視されているが、何といってもメカニカル動作による信頼性である。最近は、半導体素子を用いたソリッドステートリレーやMOSFETリレーなども使用領域を拡大しているが、圧倒的に使用個数が多いのは、メカニカル動作の電磁リレーである。
電磁リレーは、制御盤用などのシーケンス制御や、直接負荷開閉できるタイプなど種類が豊富である。機器内蔵用リレーは、高容量・高耐圧の多極パワーリレーなどがあり、コンプレッサやヒータ、モータの特性に応じ使い分けられている。
SMTなどプリント基板に直接取り付けるタイプが増えているなかで、制御盤内蔵の用途も堅調である。
また、使用個数が増加しているのが車載用に使用するリレー。自動車の乗り心地向上や電子制御化に対応して、1台当たりのリレーの使用個数は年々増加している。
低消費電力、長寿命、高信頼性など、車載用途でのニーズに対応することで、古くて新しいリレーの存在感を発揮している。電気自動車の普及で、この用途向けのリレーも増加しており、車載リレーは今後の大きな市場になるのは確実だ。
ソリッドステートリレーやMOSFETリレーは、動作音がしないことや、長寿命であることなどから、評価を高めている。価格も量産化で採用し易くなっている。小さな入力電力で大きな出力電圧を開閉することができ、小型軽量で応答時間が速いのも特徴。