制御機器メーカー、配電制御システムメーカー、商社は、政府の成長戦略や東京オリンピック開催決定など好材料の出ているなかで全国の設備投資動向を注視しているが、日銀が10月21日に発表した地域経済報告「さくらレポート」は、前回の7月発表に比べ全地域で判断を引き上げた。FA業界と関連が深い設備投資や生産活動は、地域別シェア2位の東海地域が最も活発である。東海地域の製造業は、維持・更新や新製品・省力化対応の投資を積み増す動きである。シェア5割に近い関東甲信地域は、鉄鋼の持ち直しの動きが一服、電気機械、情報通信機械などは下げ止まっている状態だ。一般機械は増加に転じ、輸送機械も増加基調である。FA業界から見れば、まだまだ全地域の浮揚感は伴っていない。
<北海道地域>
■設備投資■
緩やかに増加している。9月短観(北海道地区)における2013年度の設備投資計画をみると、製造業で、前年度に引き続き能力増強投資を実施する動きがみられているほか、非製造業で、大型の維持・更新投資を行うことから、全体としては前年を上回っている。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、国内外需要の増加を背景に、緩やかに増産している。主要業種別にみると、輸送機械では、北米向け需要が増加する中、中国向けや国内向け需要も堅調に推移していることから増産している。鉄鋼では、自動車の生産回復を背景に緩やかに増産している。窯業・土石では、復興需要や道内建設向け需要の増加から高水準の生産を続けている。
紙・パルプでは、輸入紙の流入減少に伴う国内向け出荷の増加から持ち直している。電気機械では、車載向けで増加しているものの、全体としては低水準の生産を続けている。
<東北地域>
■設備投資■
増加している。9月短観(東北地区)における2013年度の設備投資計画をみると、製造業・非製造業とも震災復旧投資の一服などから前年度を下回ったが、前回調査(6月)比では、製造業での能力増強投資や、卸・小売業等での新規出店投資などから上方修正となった。この間、建築着工床面積(民間非居住用)をみると、卸・小売業、運輸業等の増加から、全体でも前年を上回って推移している。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、緩やかに持ち直している。主要業種別にみると、電子部品・デバイスは、情報関連財向けを中心に緩やかに持ち直している。また、輸送機械は、乗用車は高い生産水準が続いているほか、部品も持ち直している。一方、食料品等は、被災生産設備の復旧は進捗しているものの、販路の喪失等から、低調な動きとなっている。
<北陸地域>
■設備投資■
製造業を中心に底堅く推移。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、着実に増加している。業種別にみると、電気機械(含む電子部品・デバイス)、化学が増加しているほか、一般機械、金属製品、繊維は持ち直している。非鉄金属は横ばい圏内の動き。鉄鋼は弱めの動きとなっている。
<関東甲信地域>
■設備投資■
非製造業を中心に増加基調にある。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、持ち直している。業種別にみると、一般機械が増加しているほか、輸送機械も増加基調にある。電気機械、情報通信機械などは下げ止まっている。一方、鉄鋼は持ち直しの動きが一服している。
<東海地域>
■設備投資■
一段と増加している。9月短観(東海地区)における2013年度の設備投資をみると、製造業では、維持・更新投資を引き続き実施する動きや、新製品・省力化対応の投資を積み増す動きなどから、前年を大幅に上回る計画となっている。非製造業でも、インフラ関連の高水準の投資が下支えする中、物流施設を新設する動きがみられるほか、個人消費関連において出店・改装の動きが強まっていることなどから、前年を上回る計画となっている。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、高めの水準で推移している。品目別にみると、自動車・同部品は、国内の乗用車販売が堅調に推移していることなどから、高めの水準で推移している。また、電子部品・デバイスが引き続き増加しているほか、二輪車・同部品、はん用・生産用機械(工作機械等)は持ち直している。この間、鉄鋼、化学は横ばい圏内の動きとなっている。
<近畿地域>
■設備投資■
持ち直している。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、緩やかに増加している。この間、在庫は横ばい圏内の動きとなっている。
<中国地域>
■設備投資■
非製造業を中心に持ち直している。9月短観(中国地区)における2013年度の設備投資計画をみると、全産業では前回調査比で上方修正となり、前年比プラスに転じた。内訳をみると、製造業はなお前年割れの計画ながら、鉄鋼や自動車を中心に前回調査比で上方修正している。また、非製造業では小売業の出店投資や運輸業の物流拠点投資を中心に前年を上回る計画となっている。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、持ち直している。主要業種別にみると、自動車は、受注好調な新型車の増産等から、高操業を続けている。鉄鋼は、自動車向け鋼材や建材が好調であり、持ち直している。また、電子部品・デバイスも、スマートフォン・タブレット端末向けを中心に、全体では持ち直しているほか、一般機械も持ち直しつつある。化学は操業度を高めている。
<四国地域>
■設備投資■
持ち直している。9月短観(四国地区)における2013年度の設備投資計画をみると、6月調査に比べ上方修正となった。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、持ち直しに向かう動きがみられている。主要業種別にみると、金属製品は、公共工事や住宅着工の増加を受けて増加基調にある。一般機械は、復興需要などから高水準の生産が続いている。電気機械は、スマートフォン向けや自動車向けで緩やかに持ち直している。化学は、医薬品で好調な生産が続いているほか、衣料素材関連の一部で持ち直しの動きがみられている。この間、紙・パルプは、減産幅を縮小させている。また、輸送機械は、操業度を引き下げた状態が続いているが、一部で受注持ち直しの動きがみられている。
<九州・沖縄地域>
■設備投資■
非製造業を中心に持ち直している。9月短観(九州・沖縄地区)における2013年度の設備投資は、非製造業を中心に前年を大幅に上回る計画(全産業:+22.9%、製造業:+3.3%、非製造業:+32.7%)となっており、前回6月調査比でも、上方修正となった(修正率:+1.7%)。
■生産■
生産(鉱工業生産)は、緩やかに増加している。主要業種別にみると、自動車は、海外向け等を中心に緩やかに増加している。鉄鋼も、これまでの為替相場の円安方向の動きを受けて、海外向けを中心に緩やかに増加している。一般機械も、海外向けを中心に生産水準を引き上げており、緩やかに増加している。この間、電子部品・デバイスは、海外からの受注増加を背景に、半導体関連を中心に持ち直しつつある。化学は、薬品関係を中心に増加を続けている。