電気制御、計測、真空、ロボットに関する展示会が同時に東京ビッグサイトで先週催されたが、見応えがあった。これまでは各業界の専門展が個々に時期を選び開催してきたが、過去はそれでよかった。しかし24時間自動化操業が必須の今日、それぞれの業界の立場を保ちつつ連携した今回の展示会は、来場者に大きな利点を提供できた。
生産技術者はもとより、経営管理層から営業部門まで、こぞって見学する会社が多かった。ある中堅製造業の経営者は通信、制御、メカトロの最新情報を入手する目的で、社内の各部門に必ず見学するよう指示を出したという。経営者は、完全無人化で部品・機器管理から生産、販売まで一気通貫で24時間見通せる会社構造にしたいという展望を持っている。
そこまで到達するにはまだまだ技術課題が存在し、時間も要するが、進路が明確になったこと自体に意義がある。日本の製造業は、24時間自動化操業が存続の活路と見定めた。目標が明確になれば、力を発揮する。その基盤技術のひとつにIT技術がある。M2Mを確立するには、ITの進化に負うところが大きい。
ところが情報処理と情報伝達技術が国境の壁を引き下げたように、業壁も破りつつある。本紙連載「ソフトウエア会社がハードウエア事業に参入、何故か?」で指摘しているように、業際への参入企業が出てきた。同時に情報通信関連、ソフト開発、ハード製造の三者協業の機会も生まれる。ハードメーカーにとっては脅威ではなく、新規客先到来である。ただ、メーカーも商社もあまり得意ではない技術との遭遇なので、うかうかしていられない。業界総学習の時代に入ったともいえる。