制御機器・システム各社は、鉄道輸送関連市場を注視している。鉄道車両の生産は減少傾向にあるものの、鉄道各社が安全対策に積極的に取り組んでいるため、制御機器・システムの需要増加につながってくると見込んでいる。とくに、設置が進むホーム柵では、幅広い制御機器が採用されており、今後も需要拡大が確実視されている。また、太陽光発電設備の設置、電力の貯蔵、電力量監視システムの導入にも、制御機器・システム市場として拡大の期待がもたれている。
鉄道車両には、押しボタンスイッチ、多方向操作スイッチ、切り替えスイッチ、表示灯、端子台、コネクタ、検出スイッチ、監視システム、制御システムなどが採用されてきた。この車両の生産は、漸減傾向にあり、2012度は1574車両となった。4年前の08年度の69%の水準に落ち込んでいる。
しかし、駅舎の安全対策やスマートグリッド技術の導入は増加が続いている。安全対策では、ホーム柵設置が耐震対策と並んで設備投資の目玉になっている。
東日本旅客鉄道は、今13年度の設備投資を、12年度比400億円増の4450億円を計画している。安全対策では、山手線7駅にホーム柵を設置する。
東急電鉄は、13年度の鉄軌道事業で488億円の設備投資を計画しているが、そのうち368億円を安全対策やサービス向上に投資する。固定式ホーム柵の設置や、非常停止ボタンの増設を計画している。
東武鉄道も13年度、可動式ホーム柵の整備に着手するほか、非常停止ボタンスイッチを増設する。
都交通局は、地下鉄大江戸線全38駅へのホーム柵設置を完了したが、未整備路線についても整備に向けた検討を進めている。
名古屋市交通局は、11年度に23駅にホーム柵を設置したが、15年度に向けて22駅、さらに20年度までに34駅に整備する計画である。
ホーム柵は、大都市で急速に普及しつつある。
ホーム柵は、開閉時の安全を確認する各種センサーと、車両ドアと連動して開閉させるための情報伝達装置の組み合わせで構成されており、センサーや表示灯、表示器、PLC、モータ、インバータ、監視システム、操作盤、制御盤、押しボタンスイッチ、端子台、コネクタなど多くの制御機器が使われている。
駅舎の安全対策設備投資は、制御機器・システム各社にとって今後とも安定成長市場として見込める。