情報通信・放送機器関連市場は5兆円を超える規模で、そのうち放送機器は1兆円をキープして、安定した市場となっている。
産業用操作用スイッチは、情報通信・放送機器や装置1台に対し採用される数量が他の産業機器よりも多い。放送局や映像・音響スタジオでは人が目と耳で情報をキャッチし、手で操作・確認する。そのため、手は千手観音のように多数のスイッチを操作することになる。操作パネルには1000個の押しボタンスイッチ、照光式押しボタンスイッチ、表示灯などがずらりと並んでいる装置もある。
操作パネルに密集したスイッチ群に対するスタジオオペレータの要求は厳しくなる一方である。
スイッチに向かう指の動きは目で追うと同時に、ピアノ演奏家のように長年の間に培った位置取りで行われる。そのため、表示色の色彩が大切な要素である。
操作用スイッチメーカーは鮮明な色を出し、多彩な表示色のスイッチを開発して対応している。表示はLEDやLCD、有機ELが採用されている。しかも、求められる情報量が増えつつあり、文字や絵、動画などでメッセージを表示できるスイッチも発売されている。
また、オペレータは指先の感覚を重視し、スイッチ操作時のクリック感はもとよりストローク量に敏感に反応することから、多種類の製品をそろえ、最適な機種選定を容易にしている。
近年は、ますます細やかになるエンドユーザーの要求を製品に反映させるため、操作用スイッチメーカーは機器・装置メーカーと密接な連携でデザイン、形状や機能などの技術革新を進める必要性が増している。