プレス機械安全装置構造規格が一部改定され、今年7月施行となったが、日本プレス安全装置工業会では周知徹底へ取り組みを強めている。プレスブレーキによる災害発生率が高止まりしていることから構造規格が見直された。同工業会では、光線式安全装置の設置要件変更への対応、レーザー式安全装置の導入、自動プレスでの安全対策の充実を呼び掛けており、災害発生件数の大幅減少につなげたいと期待を寄せる。
プレスブレーキによる災害発生件数は、1989年が316件、その後92年196件、95年167件と漸減してきたが、98年には265件と200件を超えた。2001年は187件、04年185件、07年150件と減少しつつあるものの、依然発生件数が多い。全災害数に占める発生比率は逆に増加傾向にある。
89年8・8%であったが、92年8・4%、95年9・7%、98年は16・5%と2桁を超えている。その後も、01年16・1%、04年15・1%、07年15・3%で推移し、高止まりの状態が続いている。
こうした状況から、プレスブレーキ専用レーザー式安全装置の導入を追加した。スライドの速度を毎秒10ミリメートル以下の低速度とすることができ、操作部を操作している間のみスライドを作動させることができるプレスブレーキを設置、使用する。
プレスブレーキ専用レーザー式安全装置の認可により、安全性と作業性を両立した安全対策が実現できるとし、同工業会では啓蒙活動に取り組んでいる。すでに、小森安全機研究所、東洋電機、理研オプテックが型式検定を取得した。
また、光線式安全装置の取り付け要件の変更が行われ、ボルスタ端と光軸までに身体の一部が入り込む場合、安全囲いなどで対策する必要があるとし、従来の200ミリ毎1光軸から75ミリ毎1光軸を推奨している。
さらに、防護範囲策定のポイントを(1)床面からの高さ1400ミリ以内=「1400ミリボルスタ面高さ」防護必須(2)床面からの高さ1700ミリ以上=「ダイハイト+ストローク長」防護の推奨を挙げている。
自動プレスの安全対策の充実化では、機械のストローク端による危険防止措置の充実、自動プレス加工などを行う際にはプレス作業者を危険限界に立ち入らせないなどの措置が講じられていること―としている。
厚生労働省検定品は、光線式安全装置、レーザー式安全装置、ガード式安全装置、両手操作式安全装置、制御機能付き光線式安全装置がある。
このほか、安全マット、セーフティリレー、セーフティリミットスイッチ、同ドアスイッチ、非常停止押しボタン、プレス用ロボット、セーフティライン・カーテン、多軸光電スイッチ、レーザースキャナー、セーフティPLC、コントローラーなどが、安全関連機器として採用されている。