配電制御システムの今年度出荷は、上期堅調に推移してきたが、下期も引き続き前年を上回る勢いになる。受配電盤は、東北復興需要に加え産業用太陽光発電の増加、大都市圏の大型ビル建設が見込める。低迷を続けている制御システムも半導体製造装置関連、工作機械が上向き始めており、下期から受注増加につながる。今年度は総じて伸長の1年になりそうである。
受配電盤・監視盤の主要市場である建設は、建設経済研究所の見通しによると、今年度投資額は48兆9800億円、前年度比9・8%増加が予想されている。政府建設投資は大型補正予算の本格的な実施により前年度比11・5%増と2桁の伸長、民間建設投資も穏やかな回復基調にあると予想している。民間投資のうち、非住宅は前年度比7・7%の増加である。
また、産業用太陽光発電設備の急増も受配電盤に好影響を与えている。経済産業省の発表では、今年上期(1~6月期)の工場立地件数は前年同期比67・8%増の782件、工場立地面積は同273・6%増の2662TELに達した。この大幅増加の要因は、太陽光発電を目的とした電気業の立地案件とされる。電気業は工場立地件数(782件)の54・9%、429件を占める。
また、立地面積(2662TEL)は84・0%、2236TELとなっている。先行き数年、増え続けるものと見られている産業用太陽光発電は、配電制御システム各社にとって新規市場だけにプラス効果が大きい。ある大手企業では、受注残を消化できず外注依存度が高まっているという。
こうした大型施設やビル建設、産業用太陽光発電など社会インフラ系市場は、受配電盤・監視制御システムの需要拡大の牽引役となっている。
一方、制御システムもこれまで冷え込んでいた主要顧客層の半導体製造装置、工作機械向け受注が増え出した。
日本半導体製造装置協会が20日に発表した10月度の輸出を含む日本製装置の受注額(速報値)は前年同月比12・0%増の1213億2500万円(3カ月移動平均)、BBレシオ1・59である。
工作機械も10月受注は1022億4200万円、前年同月比8・4%増加とプラスに転じた。内需は386億5500万円、同40・5%増、外需は635億8700万円、同95・2%であり、内需が牽引している。
ロボット向け制御システムも順調である。日本ロボット工業会統計では、今年7~9月期生産台数は2万7161台で、前年同期比5・6%増えた。用途別では溶接、機械加工、マテリアルハンドリングが前年同期を上回っている。
配電制御システムは社会インフラ系、工場系ともに今後とも安定した伸びが見込めそうである。