東京モーターショーは、新素材と先進の制御技術の披露式でもあった。安全運転支援システムや自動運転システム、災害時に1週間電気を供給する災害支援システムなど、自動車は人の運搬から地域社会へと役割が広がっている。FA業界に携わる人が見ても応用できる技術のオンパレードで楽しい。▼
モーターショー開催の前日、友人の招きで東京海洋大学が建造した世界初の急速充電対応型電池推進船「たいちょうⅠ」に乗船した。12人乗りの小型船舶であるが、リチウムイオン電池を動力源としてモーターで走行し、インバータで制御する。時速22キロメートル以上の速度で運航しても船内は普通の声で会話ができるほど静かで快適である。充電時間はわずか30分。関係者によると、制御回路が一番難しかったという。▼
半世紀後の自動車や船を想像すると、わくわくと心が踊ってしまう。下船後、友人を囲んで話が弾んだのはもちろんだが、話題が転じて10年先の産業は素材、重電、自動車、船舶、ロボット、介護機器分野などが日の目を見る。そして、日本は幅広い産業を抱えているので、他のアジアの国々と比べ、先行き明るいだろうと結論付けた。▼
その産業を支えているのは、「新素材と電気制御」技術である。両者が、環境と人口構成問題に直面する社会を変えると言い切っても良いかもしれない。新素材が環境対応型のモノの形をつくり、制御の高機能化が人口減少を補完する。モーターショーと電池船は、豊かな生活を描くひとときを与えてくれた。