FA制御機器の市場が10月以降、急速に上昇基調を強めている。半導体製造装置や工作機械、各種加工機械の受注拡大が大きく影響を与えている。今後3月までの下期はこれらに加え、社会インフラの老朽化に伴う更新投資や、消費税導入前の前倒し需要の活発化で、自動車や家電などの増産が進むことが見込まれ、鉄鋼なども設備のリニューアルや増設投資を積極化する動きが強まることが予想されている。
日本電機工業会(JEMA、稲村純三会長)がまとめた2013年上期(4~9月)の重電機器の生産は、今年3月の見通しが97・9%と前年同期マイナスと見ていたが、実際はこれを2・9ポイント上回ってプラスに転じ、100・8%の1兆7724億円となった。これで10年の上期から7期連続で前年同期を上回っていることになる。12年上期まではインバータやPLC(プログラマブルコントローラ)、サーボモータなどの産業用汎用電気機器が需要を牽引していたが、12年下期と13年上期は発電用原動機などの受注生産品が牽引役になっており、双方が需要を補う形で結果としてプラスを維持してきている。
13年上期も、発電用原動機が輸出向け蒸気タービンの生産が上期に集中したことで117・4%と大幅に増加して、重電機器全体を押し上げた。
サーボモータも、半導体製造装置の需要増、及び昨年末からの為替の改善もあり、輸出向けが回復したことで112・9%と増加し、さらに電力変換装置が再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を背景としたメガソーラー向けの需要増などで110・6%と好調に推移している。PLCは円安基調から輸出向けが回復している。
10月の産業用汎用電気機器の出荷実績は、116・2%と4カ月連続で前年同期を上回って2桁の伸びを示した。インバータが125・3%、サーボモータが130・2%、PLCが141・6%と主力製品が大きく増加している。9月はインバータが111・0%であったのに対し、サーボモータは96・9%、PLCは90・1%と前年を割り込んでいただけに、10月の出荷の伸びは突出している。
この3製品の上期出荷は、インバータ103・2%、サーボモータ104・0%、PLC100・1%となって前年同期プラスとなっており、為替の改善もあり輸出は2桁増となっており、外需が牽引している。
JEMAでは下期(10月~14年3月)見通しを99・5%で前年度微減と、今年3月からの数字変更はしていない。
上期好調であった発電用原動機は輸出向けを中心に手持ち受注から堅調に推移するものの、国内電力会社の送配電向けの電力用機器の減少を懸念している。
しかし、産業用汎用電気機器を中心に輸出向けが好調を維持することが見込まれていることもあり、下期も前年同期を上回る可能性がかなり高く、通期でも前年度比プラスになるものと予測される。
国内も東京オリンピック開催関連投資や消費税導入前の前倒し需要、社会インフラの再構築などでの投資に期待が高まっている。
東京オリンピックでは土木建設からの波及で、建設機械や建設部材の需要が拡大し、鉄鋼メーカーの増産や設備リニューアル投資、工作機械をはじめとした各種産業機械の増産体制にもつながる。こうした傾向は、FA機器をはじめ、電気機器、設備機器など幅広い分野に波及する。
一方で、環境・省エネ投資も並行して続けられ、再生可能エネルギーに絡んだパワーコンディショナーやスマートメーター、電源・電池関連の需要も継続して市場の拡大に貢献が見込まれる。
稲村会長は「重電機器全体では前年度に対し下期は横ばいで推移するが、上振れする可能性もある」としている。