経団連をはじめ、日本機械工業連合会、日本電機工業会など全国43団体が連名で「地球温暖化対策税の使途拡大等に反対」を公表した。その全文は次の通り。
1・現政権の政策により、わが国はデフレからの脱却と景気回復の兆しが見えつつある。しかしながら、大幅な電力価格の値上げを含むエネルギーコストの高騰は、依然としてわが国経済の大きな足かせとなっている。産業界の間には、2012年10月に導入された「地球温暖化対策のための税」(地球温暖化対策税)に対し、来年4月に予定されている税率引き上げの凍結や、廃止を含めた抜本的見直しを求める強い意見がある。
2・こうしたなか、来年度税制改正に向け、一部省庁や地方公共団体から、地球温暖化対策税収の使途を拡大して森林吸収源対策に充てるべき、その一定割合を地方に譲与すべき、あるいは森林整備等のため二酸化炭素排出源を課税対象とする全国森林環境税を創設すべき、との要望が出されている。産業界はこれまで、地域社会と協力しながら森林保全対策に主体的に取り組んできた。我々は、以下の理由から、地球温暖化対策税収の使途拡大や新たな税の創設に反対する。
(1)
森林整備は、森林の持つ多面的機能の維持に資するなど社会全般に多様な便益をもたらすことから、その費用は化石燃料利用者だけでなく、国民全体で負担すべきである。
(2)
地球温暖化対策税は「エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施する観点から」(平成25年度税制改正大綱、13年1月24日)導入された。その経緯を無視した使途拡大は、納税者の信用を損なうものである。
(3)
地球温暖化対策税は、受益者負担の考え方の下、エネルギー起源CO2排出抑制のための費用負担を化石燃料利用者に課していることから、その税収を森林吸収源対策に充てることは、受益と負担の関係を損なうこととなる。
(4)
経済の好循環を実現するうえでエネルギーコスト抑制が国家的課題となるなか、エネルギーコスト低減等につながる省エネ対策等に活用すべき財源を他の使途に用いるべきではない。
[要望団体]
日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、石油連盟、全国石油商業組合連合会、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本機械工業連合会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟、関西経済連合会、九州経済連合会、四国経済連合会、中国経済連合会、中部経済連合会、東北経済連合会、北陸経済連合会、北海道経済連合会、新金属協会、石油化学工業協会、断熱建材協議会、線材製品協会、鐵鋼スラグ協会、日本アルミニウム協会、日本金属熱処理工業会、日本鉱業協会、日本工作機械工業会、日本産業・医療ガス協会、日本産業機械工業会、日本製薬工業協会、日本造船工業会、日本ソーダ工業会、日本チタン協会、日本鋳造協会、日本鋳鍛鋼会、日本電機工業会、ビジネス機械・情報システム産業協会、普通鋼電炉工業会
(11月22日現在)