プローブカードメーカーの日本マイクロニクス(長谷川正義社長)は、ベンチャー企業グエラテクノロジー(GT社)と共同で量子電池の量産化技術の開発に成功、サンプルの準備を進め事業化の検討に入った。シート構造で10万回の充放電が可能なことから、コードスキャナーなどモバイル機器、産業用機器、自動車、家庭用などの2次電池として幅広い用途が見込まれる。
この新概念の量子電池は、GT社(神戸市中央区港島南町5―5―2、TEL078―335―5655、中澤明社長)が開発した酸化物半導体2次電池。酸化物半導体のバンドギャップ中に電子捕獲準位を形成、この準位に絶縁層を介して電子を充填するか空にするかにより充放電を行う仕組み。希少金属不要、無機薄膜で他のデバイスに実装可能、優れた耐環境性・安全性、長寿命、高密度、軽量といった特徴を持っている。
日本マイクロニクスは、GT社と共同開発契約を結び、プローブカードで培った大面積薄膜多層積層技術、高精度接合・アセンブリー技術を用い、量子電池の基本性能を有する大面積シートの量産化技術の開発に成功したもの。また、単層シートのみならず積層実装においても製造できることを確認したという。
両社が製品化をめざす量子2次電池は、電圧1・5V、電力密度500Wh/L、出力密度8000W/L、サイクル寿命10回、動作温度範囲TEL25~TEL85℃。