経済産業省は6日、電気事業法施行規則改正の省令を公布した。同時に、自己託送の指針を制定、来年4月1日から施行する。製造業などは自家発電の電力を各地に分散する工場へ融通できるようになる。配電制御システム業界でも注視していた自家用発電設備の導入が促進するものと見られる。
経済産業省は、電気事業法の一部を改正する法律により自己託送が制度化されたことを受け、電気事業法施行規則等の一部を改正する省令を公布した。一般電気事業者が非規制の中で自主的に取り組んできた送電サービスである自己託送が、今後一般電気事業者の義務として規制される。このため、電力会社の送配電ネットワークの利用について、ある一定の規定は存在するものの可能となる。自家発電設備を設置する製造業は、電力会社の送配電ネットワークを使い別の場所にある工場などへの送電が実現する。また、省令公布と同日付で自己託送に関わる指針を制定した。
指針では、自己託送を利用することができる当該者、自己託送に関わる供給行為と特定供給との関係について明記している。
自己託送を利用できる会社などは、自家用発電設備の設置が前提条件である。自己託送を利用するに当たっては、別の場所にある工場などへの送電のみならず、その企業などと「密接な関係を有する者の特定規模需要」に応ずるための送電を行うことも可能としている。
密接な関係を有する者の特定規模需要とは(1)生産工程における関係、資本関係、人的関係などを有する者の特定規模需要(2)生産工程におけるものを除く取引などにより、前項の企業に準ずる関係を有し、かつ、その関係が長期にわたり継続することが見込まれる者の特定規模需要と規定している。
今後は、自家用発電設備を設置した製造業は、工場、密接な関係を有する者への電力供給ができる。ただし、逆に密接な関係を有する者から自家用発電設備を持つ製造業への電気の受け渡しは、有償になる場合は、特定供給の許可を取得する必要がある。
今回の指針制定により、自家用発電設備の導入が増加するものと見込まれる。
自家用発電設備には監視制御盤が搭載されており、また、設備導入に伴い配電盤の需要も期待できることから、配電制御システム業界にとっては、省令公布、指針制定が追い風となりそうである。