新年、あけましておめでとうございます。経済産業省はじめ関係省庁、関連団体、並びに会員の皆様には、日ごろより当工業会の活動に多大なるご支援、ご尽力をいただき、心より御礼申し上げます。
2014(平成26)年の年頭にあたり、謹んで所感を申し上げます。
昨年は、安倍政権の3本の矢による経済政策により、質的・量的金融緩和、機動的な財政政策、TPP交渉への参加、経済外交でのトップセールスなど、次々と強力な経済施策が遂行されました。その結果、円高是正や株価上昇が実現し、デフレ脱却に向け前進し、景気は緩やかに回復しつつあり、日本の産業再生、強い経済を取り戻す方向へ大きく転換した年となりました。
海外においても、米国の景気は回復方向にあり、欧州や中国の経済状況も持ち直す状況でございます。
今年は、財政健全化を進める中で、産業の成長戦略を実現する、重要な年であると認識しております。消費税引き上げの影響はある程度予想されますが、これを早く乗り越え、今年後半には回復に転じ、経済成長が実態となっていくことを期待するところでございます。
電機業界にとり、いま最も大きな課題は、新しい「エネルギー・環境戦略」の構築でございます。昨年末に示されました、エネルギー基本計画の素案では、経済成長と国際視点に基づき、安全性を前提とした上で、エネルギーの安定供給を第一とし、経済性、環境性を踏まえ、「多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築」を目指すとあります。原子力発電については安全確保を大前提に再稼働を進め、ベース電源としての必要な規模を確保し、廃炉・汚染水対策、放射性廃棄物の最終処分などに、国が前面に立った取り組みをすること、核燃料サイクルの推進を基本方針とすること、などが表明されております。火力発電では、石油・ガスに加え石炭火力の重要性を評価し、高効率火力発電の有効活用の推進、再生可能エネルギーでは電気料金の大幅な上昇がなきよう注視しつつ、最大限の導入を図ること、デマンドレスポンスなど需要家への最適システム推進などが盛り込まれております。電力システム改革では、供給力確保あるいは電源設備投資を促進する具体的制度設計の重要性にも触れております。電機業界と致しましても、是非この基本計画をしっかりまとめていただき、具体的施策へ展開されることで、低廉で安定的、かつ高品質な電力インフラを再構築し、併せて日本の高い電力技術の維持を実現頂きたいと考えております。
このような中、電機業界としても成長戦略を実態とすべく、攻めの経営に取り組んでいく所存です。重電、白物家電分野は、いずれも世界をリードする技術レベルを保有しており、その強みを更に強いものとしてまいります。国内市場は需要の大きな伸びは期待できないものの、エネルギー基本計画をしっかり具体化することこそが、重要な課題であります。強靱で高品質、かつ環境負荷低減を徹底的に追求したエネルギーインフラを再構築し、需要家側においても付加価値が高く、同時に環境に貢献する製品の提供で世界をリードする、エネルギー効率の高い社会を実現することが電機業界のイノベーションであると考えております。国内で生産・雇用を確保しつつ進化させた技術を、各国の状況に応じ世界に提供することで国際競争力を維持し、世界の成長を取り込みながらグローバル展開していくことが、電機業界の成長戦略であると考えております。このため、国際標準化の推進、中長期での人材育成にも努めて参ります。
また、環境分野では、電機・電子業界の自主行動計画である「低炭素社会実行計画」を推進してまいります。
成長戦略を実態とするためには、企業活動が重要と認識しておりますが、政府におかれましても、引き続き金融緩和、消費増税に対する景気対策、法人実効税率低減など世界で戦うためのイコールフッティングの施策や、国益を確保したTPPの決着、インフラ・システム輸出施策の継続など、強力な経済施策をお願い申し上げます。
電機業界として、関係省庁や関係機関との密接な連携のもと会員の皆様と一丸となり、今年は成長軌道を確固たるものとし、電機産業の発展、ひいては日本の経済再生につなげる年にしたいと思います。
最後になりましたが、この一年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。