FA(産業)用パソコン・コンピュータは、工場の生産用からインフラ設備用まで幅広い需要裾野に支えられ、安定した市場を形成している。市場規模は350億円前後と推定されているが、確定した数値とはなっていない。それは汎用パソコンやタッチパネルなど、似たような機能とアプリケーションから、はっきりと区切りにくいという背景が挙げられる。
信頼性の高さ、メンテナンス性の良さなど汎用パソコンとは異なる特性が、ユーザーの高い評価の確立につながっているが、これに加え、大きく異なるのは長期間の安定した供給体制が受けられるかという点。工場やインフラなどの設備は、一度導入すると10年、20年も使用することも多く、保守や部品の供給、ソフトウェアの互換性など長期間にわたって、対応を求められることが多い。
FA(産業)用パソコン・コンピュータ各社では、製造終了後10年間の保守を保証しているところも多く、安心して使える背景になっている。
工場やインフラ設備では、24時間連続稼働や、高温・多湿、油滴・水滴が飛び散るなどの悪条件下での使用といった耐環境性、プレス機・多軸モーション制御などが近くにある側での耐振動性などといった過酷な現場でも、長期間安心して使えるように設計している。コンピュータは熱に弱く、排熱・冷却が不足すると、寿命にも影響する。また今後は、CPUの高性能化とともに、ファンレスコンピュータとして、ファンなど稼働部を持たない製品も開発され、新たな市場を形成している。今後は海外市場の開拓も動きが活発化しそうだ。