制御機器各社は、国内の新規市場の創出に期待をかける一方、省力化の設備投資が見込める中国・東南アジア市場の開拓に引き続き注力する方針である。総合メーカーだけでなく専門メーカーも生産や販売を強化する。国内市場のシェアアップと円安を追い風に、アジア市場を開拓する両面戦略は勢いを増すばかりである。
三菱電機は、製造業のチャイナプラスワンに対応し、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムでビフォア・アフターサービスのサポートを強化する。東芝社会インフラシステム社は、鉄鋼需要の大きい中国などの市場を開拓する。安川電機も、海外市場では継続して中国に視点を置き展開する計画である。
オムロンIAB社は、中国のサービスサポート体制で高い評価を得たとして、今年はインドにもオートメーションセンターを設立する。富士電機機器制御は、海外販売が売り上げの30%を占めるが、さらに代理店や営業人員の増加を図る。パナソニックデバイスSUNXは、ローカル企業への売り上げが70%を占める中国での営業を強化するほかタイ、インドなどでも展開し海外売上比率を50%以上にする。
専門メーカーも中国、アジア地域の開拓に余念がない。アジア市場の開拓へ各社独自の展開を始めている。
アルゴシステムは、海外展開を視野に入れて取り組んでいる。オータックスは、中国・深セン工場の生産能力を向上、3月にはタイの新工場で端子台の生産を開始する。フジコンは、原価低減と市場拡大を行う中国事業部を強化する方針である。理光産業は、1月から理光フロートテクノロジーに社名変更したが、より積極的に海外市場を開拓する。東洋電機は、中国子会社がローカル企業向けにエレベータセンサーなどの販売に注力するほか、近く完成のタイ工場でも生産を開始し、マレーシア、インドでも営業展開する。
国際電業は、海外事業の拡充が大きな課題として、フットスイッチ、ソレノイドを現地代理店と共同でローカル企業に販売攻勢をかける。シマデンは、円安を追い風に輸出比率の高い中国をはじめ、東南アジア市場を積極的に開拓。国際電業、シマデンは3月上海市で開催のエレクトロニクス製造見本市のジャパンパビリオンに出展し高品質をアピール、現地代理店の顧客獲得支援を行う。
キムラ電機は、アジア地域の販売店との連携を強める。ケージーエスは、新たな部材の供給先としてベトナム、インドネシアの日系企業を検討している。品川商工は、ASEAN諸国市場向けに国内営業と貿易部が連携し成果を上げている。
信明電機は、中国工場を通じ日系法人向け販売に注力する一方、部材の供給を増やす。北陽電機は、韓国に販売拠点を設けているが、今後は中国、台湾にも販売強化する。コグネックスは、タイなどアジア市場での現地サポート要員を増やすことを検討している。マコメ研究所は、中国、タイの現地商社を通じて市場開拓に取り組んでおり、輸出比率を5%から10%へ引き上げる。オプテックス・エフエーは、現地販社と中国広東省に設立した合弁会社で提案型営業を展開し、3年後に10億円の売り上げを目指している。NKEは、中国の営業拠点が軌道に乗り、タイには昨年12月駐在員事務所を開設した。