圧着端子の需要が急増し納期が切迫、販売会社、配電制御システムメーカーや配線工事会社などの一部に納期遅れによる影響が出始めている。太陽光発電システムや配電制御システムが好調なことに加え、消費税増税前の前倒し受注などによる需要増加に加え、銅価格の上昇と入手難などの要因が絡んでいる現象と見られる。5月頃には、解消するのではないかという見方が強いが、材料の銅の供給不足が続く可能性もあり、予断を許さない状況が続きそうである。
日本圧着端子製造では、圧着端子の需要動向について、太陽光発電システムの建設ラッシュによる発電設備向けや、配電盤向け小物製品の需要増、さらに、今年4月からの消費税増税前の駆け込みや、トランスのトップランナー方式への切り替えに伴う前倒し需要などが要因で、昨年6月頃から受注が増加し、かなり納期厳しくなっている。
同社では、基本的に古い納期を優先しているが、この状況を解消するため増産体制を敷いて状況は若干改善されているものの、一部の製品や、受注した時期のタイミングなどにより、顧客への納入が遅れるケースも出ているという。
大同端子製造では、昨年12月頃から受注が増加しているが、現在のところほぼ対応できている。受注増の要因は、太陽光発電関連の需要増と、消費税増税前の前倒しを挙げている。同社では4月頃まではこの状況が続きそうだとしており、消費税増税前の一過性のものだろうと見ている。しかし、5月以降の動きは予測できないとしている。
ニチフでは、昨年から受注が増えることを予測し、増産などの準備を行っていた。この予測通り受注は増えているものの、要因は消費税増税前の前倒しが大きいとしており、一過性のものではないかと見ている。ただ、無計画な発注は避けて欲しいとしている。
このように、圧着端子は全体的に納期が厳しい状況にあるが、今後大きな変化がない限り、4、5月頃には通常の状態に戻るのではないかという見方が強い。しかし、円安状況と主要材料である高純度銅の値上がりと入手難は継続しており、圧着端子メーカーだけでなく、配電制御システムメーカーなど圧着端子のユーザーにとっても当分の間、動向が気になる状況が続きそうだ。