中部地区の主要産業である自動車・自動車部品は、トヨタ自動車などの北米向けが堅調に推移していることに加え、国内向けに増加の動きが見られることから、全体としては伸長している。消費税増税前の駆け込み需要が期待されるが、その後の落ち込みも懸念される。
さらに、中部地区で期待できるのは航空宇宙産業で、国の国際戦略総合特区に指定されている「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」では、研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を構築し、シアトル、ツールーズに匹敵するアジア最大・最強の航空宇宙産業クラスターの形成を目指している。
中部地区の愛知県、岐阜県、三重県の各市町村が特区に指定されており、2015年には日本の航空宇宙産業の国際市場シェア目標4%のうち、中部地区がその中の50%獲得を目標としている。15年の中部地域における航空宇宙産業の生産高は9000億円を見込んでいる。
中部経済産業局発表の最近の管内総合経済動向で主要業種を見ると、航空機体部品は、航空機体メーカーの生産レートが上昇していることから、増加傾向となっている。金属工作機械は、海外向けは北米向け、アジア向けに動きがみられ、国内向けは持ち直しの傾向となっており、全体としては持ち直しの動きがみられる。集積回路、液晶素子は、スマートフォン向けを中心に高水準で推移している。開閉制御装置・機器は、自動車向けが横ばいとなっているものの、家電向けに持ち直しの動きがみられ、全体としては緩やかに持ち直している。
こうした背景のもと、中部地区のFA・制御機器流通商社は、国内での部品販売で、価格と納期という商社の基本機能を確実に守ることを重視している。価格は低価格が求められるのは当然だが、品質とのバランスで、価格が高くても高品質のものを要望する顧客も多い。
納期も、ネットや携帯端末の活用が不可欠になってきている。顧客サポートとして、登録した顧客に対しては、見積もりや単価がネット上で見られるWebサービスなどを展開しているところも多く、顧客先で営業して即決してもらうことで、本社に迅速に発注をかけることができる。
また、ネット活用では、最新のメカトロニクス製品情報を満載した、ネット用の新商品ニュースの発行なども行われている。
顧客の課題解決のためには、生産現場に精通したSE(システムエンジニア)が顧客に合った最良の製品を選択し、システムを提案する必要が出てくる。SEは現在、顧客が持っている工場ラインの維持管理を行うリプレース分野でも活動している。こうしたSEを育成し、数をそろえていくのも重要課題だ。
さらに、充電器、燃料電池、スマートメーターなどのエネルギー関連、電気自動車・車載機器、農業関連など、新分野への市場開拓にも意欲的に取り組んでいる。
一方、海外市場は、顧客の生産拠点シフトに伴い、中国、タイなどの東南アジアへの展開に力を入れるところが増えている。海外での商品供給、現地調達化対応、エンジニアリングサポートを中心に、海外子会社などと連携してグローバルビジネスを展開している。
東京オリンピック開催が中部地区にどの程度の効果を及ぼすかは未定だが、アベノミクスの経済効果が今後、中小企業まで達し、今年の景気は良くなると見る経営者が多い。中部地区の商社は堅実な営業活動、グローバル化、ものづくり活動などでさらに飛躍を遂げそうだ。