関西地区のFA流通は、昨年秋頃から確実に上昇傾向を示しており、明るさが見え出している。特に、小口を中心に受注案件が増えており、電子・制御機器の商社からは「潮目が変わってきた」という声が聞こえる。こうした背景には、FA市場に大きくかかわる半導体業界が、温度差はあるものの昨年から上昇傾向に推移、自動車業界も好調なことなどから、関西地区全体に徐々に好影響が浸透しつつある。
昨年の10月頃から増えている小口案件は、規模の小さい町工場などが中心で、関西のこうした小規模の工場は、工作機械の部品や自動車部品、半導体製造装置関連部品などを製造しており、これらの産業の下請けに当たる。こうした会社から、量は少ないものの毎日着実に受注が出ており、業界が好調に推移していることがわかる。
制御機器や電子部品の通信販売業者も、盤関係製品など小物を中心に受注数が増加しているようだ。
ある制御機器商社はアベノミクスの効果を指摘し、「市場は確実に明るさが見えてきた。FA市場全体も上向きであることに間違いはなく、我々専門技術商社が行動を起こすのに絶好のタイミング」と意欲を見せている。関東では東京オリンピックに合わせたインフラ整備が進むことが期待されているが、関西の専門商社でも設備投資や公共投資に期待する声は大きい。最近の関西地区の景気は全国から見ると遅れ気味であるが、関西市場を盛り上げるためにも設備投資や公共投資の拡大が必要で、公共投資では、和歌山方面で津波対策の工事が実施されるなどの動きが見られる。
制御商社では、「社会インフラの整備は、絶対的ニーズとして潜んでおり、こうした案件を着実につかんでいく必要がある。業界を挙げてチャレンジする気持ちを持つことが大事だ」と指摘する。さらに、個人消費の拡大にも期待する声も強く、政府の景気対策に期待をかけている。
消費税が4月から8%に増税されるが、関西地区の商社でも「3月までの受注額は伸びている」と指摘するところが多く、増税前の前倒し受注傾向が見られる。4月の新年度以降にこの反動が出るかどうかは「わからない」とする商社がほとんどのようだ。
今年のFA業界は「生産現場と生産管理の一体化やワンストップでの提案がさらに進み、FA業界にイノベーションが起こるのではないか」という声が出ている。PLC登場以降、大型の商材が不足している中で、新しい商材の登場を期待する声は強い。
最近は関西地区でも、海外メーカーが営業活動を活発化させているが、海外メーカーの多くは、新しい目線・切り口でビジネスにチャレンジする姿勢を見せており、存在感を増してきているとも言える。