FA・制御機器の流通業界は昨年秋以降、急ピッチに上昇基調を強めている。今まで自動車とメガソーラー関連が市場を牽引してきた中で、主役の半導体製造関連が回復してきたことで、さらに加速しようとしている。為替が円安に振れたことで輸出も復活し、内需の好調さと合わせ、車の両輪が回り出している。4月からの消費税増税前の前倒し需要も加味されているが、今年1~3月は好調を維持しそうだ。
FA・制御機器の流通は、円高が一服したことで輸出が回復し、加えて生産の国内回帰の動きも一部で見られるようになるなど、内需にも活気が戻ってきた。ここ数年は自動車関連とメガソーラーや省エネ化などのエネルギー関連が国内市場を引っ張ってきたが、アベノミクスによる景気への刺激策が、為替をはじめとして国内の沈滞ムードの一掃などに効果を発揮し始めている。
昨年前半は、省エネやメガソーラー、スマートフォンやタブレットPCなどの需要が拡大したことで、電子部品市場を牽引し、電子部品商社の売り上げが伸長した。後半は、半導体製造装置や工作機械などの需要回復が進んだことでFA機器も上昇に転じ、FA制御機器商社の売り上げも前年同期比10%を超えるところが増えてきている。
■在庫積み増し局面続く
日本電気制御機器工業会(NECA)の制御商社在庫循環図によると、制御機器の在庫は昨年6月を境に在庫調整から在庫積み増し局面に入り、7月以降急速に流通在庫は減少している。現在も在庫は減少基調であることから、しばらくは在庫積み増し局面が続くものと見られる。エネルギー関連の取り組みは、省エネ対応でのLEDの普及、電力消費状況の見える化周辺機器、メガソーラー周辺機器、さらにはスマートメータなど社会全体での取り組みが大きな波及効果となって、FA制御機器流通商社にも大きなインパクトを与えている。さらに、高齢化社会を迎え、介護・福祉関連市場、防犯などセキュリティ市場も新たな期待分野として浮上している。
このほど施行の産業競争力強化法では、ベンチャー投資の促進や、設備投資減税、リース手法を用いた先端設備投資支援など、産業の新陳代謝を促し、世界に対抗できる企業競争力をつけようとしている。国内での生産性や精度・品質の向上につながる投資は今後も継続して行われることは確実で、再生可能エネルギー活用に向けた取り組みもここ数年は続くものと見られ、国内のFA流通はしばらく活況が続くと見られる。
■アジア地域全体に重点
一方、市場のグローバル化に対応して、海外市場開拓に重点を置く商社も依然増えている。今までは中国市場が中心であったが、今後の市場の発展度合いから、タイやベトナム、マレーシア、インドネシアなどのアジア地域全体を見ながらの立地に変わりつつある。同時に販売だけでなく、競争力のある製品の海外調達で国内市場に供給していく動きもある。