端子台、コネクタ、配線資材などの配線接続機器は、機械や装置などのインターフェイスを担う機器として大きな市場を形成している。最近は、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの普及に伴い、DC(直流)の高圧化に対応した端子台も増加、新たな需要を生み出している。国内の市場規模は、端子台が約450億円、コネクタが約4700億円と見られている。昨年後半から工作機械分野や半導体製造装置などの受注が拡大しており、配線接続市場への追い風になって、2013年度も2桁増のペースで推移している。また、電力などのエネルギー関連や鉄道車両分野でも機能をアップした端子台が採用されている。
配線接続機器市場として、市場が大きいコネクタは、経済産業省の機械統計によると、11年4422億円(同7・4%減)、12年4707億円(同6・4%増)で推移している。端子台は約450億円、ケーブルアクセサリー関係が約70億円と推定される。
■今年度も2桁増ペース
日本電気制御機器工業会(NECA)の制御用専用機器の出荷統計では、12年度1069億円(同17・1%減)と減少したが、13年度上期は650億円で前年同期比28・2%増と2桁増で推移。第3四半期も前年同期比17・0%増で推移している。
昨年夏頃から工作機械や半導体製造装置の受注が回復してきたことで、配線接続機器の需要増につながっている。日本半導体製造装置協会の予測では、13年度の日本製半導体製造装置の販売高を8・5%増、14年度も13年度後半からのメモリメーカーの設備投資の再開、さらにロジックメーカーの底堅い投資で11・6%増、15年度も2・7%増と継続的な伸長を予測している。
工作機械も、国内でのスマートフォンやタブレットPC、電池関連、パワーコンディショナーなど生産が好調であることで受注が増えており、月1000億円台を維持している。
再生可能エネルギー周辺での需要も増えている。ここでの発電電力はDCとAC(交流)を変換しながら商用電力化することが必要で、DC600V前後の高圧化への対応が求められる。DCは、常にプラス方向に電圧が印加されているため、ACのようにプラスとマイナスのゼロの瞬間なく、電流が大きく流れている中で強制的に遮断しなければならないことで遮断時の失敗のリスクが大きく、火災事故の要因ともなる。DC用途での端子台やコネクタはこうした耐性も求められる。最近は、DC1000V、DC1500Vに対応する端子台とともに、開閉機能も持たせた接続箱用の端子台が発売されているほか、コネクタについても高圧化への対応が進んでいる。
さらに、「省エネ・蓄エネ・創エネ・活エネ」をテーマとしたエネルギーマネジメントシステムによる新しい市場形成も期待されている。スマートシティ構想から発展し、狭い地域での電力の自給自足や分散型電源などによるマイクログリッド構想や、電力をはじめとする社会インフラ整備に伴う需要も、配線接続機器市場の大きな市場拡大につながるものと期待されている。
このところの為替の円安推移で、配線接続機器の素材価格の上昇が懸念されているが、現在のところ製品価格の見直しにまでは至っていない。