分岐点(2014年3月12日)

ゴボウやネギなど長根菜を引き抜く補助具「ごぼう抜き」という商品名が日刊工業新聞社のネーミング大賞ビジネス部門2位に選ばれた。そのものずばり連想でき、記憶しやすく、日頃食べているので親しみを感じる。この商品の開発者で名付け親が、制御機器業界の社長なので、また驚いた。

タイマー・タイムスイッチ専門メーカーのスナオ電気社長の和泉三雄氏である。もともとネーミングにはこだわりを持ち、1週間タイマーを「カレンダータイマー」として売り出しヒットさせた実績がある。3年前には「しずおか美人」を商標登録した。顧客であるメロン栽培農家の役に立ちたいとの想いが発想の原点にあり、ついに静岡産農作物の販売会社まで設立した。

身近に感じ一瞬にしていろいろ想像できるネーミングが良い。「ごぼう抜き」と聞いて、陸上競技で一気に追い抜くことや、農家の人はごぼうを収穫する作業を連想するのではなかろうか。国際電業が開発した福祉機器「ドレミでビート」も、すぐに楽器演奏器具とわかる。ある福祉施設ではドレミでビートの掛け声が演奏の合図になっているそうだ。

日本人は元来、名前を付けるのが好きである。例え製品にネーミングがなくても、自分たちで呼び名をつけてしまう。実際、工場では仲間として、機械やロボットどころか、工具にまで愛称が飛び交う。仕事を楽しく生産性を向上させるのに必要な用具なのだからとの思いが深い。ネーミングはそれほど重要な役割を持っている。知人は「制御機器には無理」と一笑された。さて?

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