ローム 産業機器、車載分野に注力 売上比率40%目指す

ロームは、産業機器を中心にFA分野、車載分野に注力する。産業機器事業は本格的に事業を開始して3年が経過、全社における売り上げ比率も6%から7%に増加しており、今後、直販やWeb販売を中心に早期に10%達成を目指す。車載分野は現在、全社の売り上げの26%と高く、産業機器と合わせ早期に40%まで高める。

同社は、各種のLSI、半導体素子、モジュールなどを中心に、これまで民生機器分野、車載機器分野などで多くの実績を挙げてきた。設立50周年を迎えた2008年から、同社の技術と実績を生かすために、産業機器分野へ参入、10年からは本格的な事業展開に取り組んでいる。

産業機器向けには、各種のIC、ドライバ、マイコン、メモリ、トランジスタ、SiC(シリコン・カーバイド)パワーデバイス、LED、抵抗器、タンタルコンデンサ、半導体製品、電子部品、モジュールなどを提供している。

特にFA用途では、機器の安定稼働に不可欠な絶縁アイテムとして、省エネ・高速・小型のデジタル・アイソレータや、幅広い入力電圧に対応する高効率のDC/DCコンバータなど、MOSFET(電界効果トランジスタ)内蔵、高周波数対応、同期整流方式などの電源製品をラインアップ。パワーコンディショナや蓄電分野向けで実績を挙げている。

電源装置では、低オン抵抗で高速スイッチング、高温動作が可能なSiCデバイスが好評で、太陽光発電に使用した場合、電力損失が約50%改善できる。パワーMOSFETやSiCデバイスの駆動に対応するゲートドライバは、従来のフォトカプラ方式に比べ、消費電流の大幅削減につながり、AC/DCコンバータは、機器の待機電力の削減に寄与する。

LED照明でも、直管LEDの売り上げが市場で3位以内に入っており、注力している製品の一つ。高度なセンシング技術製品では、同社とグループ会社のラピスセミコンダクタなどと共同で製品開発を行っている。

同社LSI商品戦略本部産業機器担当上林忠史リーダーは「産業機器はFA分野を中心に展開している。電源装置のほか今後はEMSやセンシング分野にも積極的に取り組んでいきたい。車載分野も伸ばす方針で、自動運転関連などに注目している。当社はディスクリート技術(個別半導体技術)とIC技術(集積回路技術)双方を持っているのが強みだが、今後はソフトウェア力を強化し、総合提案力をつけたい」と展望を語っている。

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