市場が細分化する一方で、顧客の扉がこじ開けられない時代になってきた。開発技術者は、エンドユーザーの現場が見られず、販売担当者も行き慣れた会社に偏りがちである。このような壁に突き当たったときに、信頼関係にまで行き着いた人脈が頼りになるのは昔も今も変わらないが、最近はITも利用価値がある。
本紙連載「混沌時代の販売情報力」の著者である黒川想介氏は「顧客情報やマーケット情報を的確に捉えられなければ、企業は成熟市場でこれからの拡大路線に出遅れる」「顧客の現場が微妙に変化していることを察知できなければ、真の販売員の役目を果たしていない」と言い切る。そして、売り上げに余り関係がないからといって、情報収集に時間を割かない販売員は失格という。
ある製造業の販売支援コンサルタント会社は、いろいろな手蔓で新規の訪問先にたどり着き、面談の最後におもむろにアンケート用紙を取りだし、面会者に記入していただく手法を顧客に徹底させている。訪問者は最初、不安になると思うのだが、意外や大半の受け手は冗談を交えながらあっさり記入するという。そして、記入しながらの会話で親密感が増し、次回訪問を確約できる。
いわゆる、眼帯を外し顧客が見えるようにする手法である。あるメーカーのマーケティング担当者は「当社製品が使われそうなFA現場が見えないので、製品開発や営業展開で戸惑っている」と語り、見える化に取り組み出している。眼帯の外し方はいろいろあるが、6万人読者のオートメレビューメールでダイレクト訪問といったIT技術と行動の合わせ技もひとつである。PRでした。