オムロンは、次世代パワー半導体素子のSiC(シリコンカーバイト)を用い、同社の屋外型現行機種と比べ、体積・電力損失とも2分の1という次世代パワーコンディショナを開発、2015年度中の販売を目指す。
新開発のパワコンは出力容量5・5kW。新しいデバイスや回路方式、放熱構造により、小型・軽量・高効率化を実現。ダイオード部だけでなく、スイッチング部にもSiCを採用したALL―SiC型のパワコンである。
リアクトルで使われるコア材(磁性体)は、高効率・低コストの両立を図る低損失のコア材料を採用。昇圧回路にインターリーブ方式、インバータ回路にレベル3インバータ方式を採用し、さらなる小型・高効率化を実現。
パワー回路系基板の1枚化を実現、不要な配線損失を削減し組み立てコストも最小化。さらに、ベース部のアルミダイキャスト化で高効率な放熱性を実現した。
体積や電力損失に関して、JET(電気安全環境研究所)の認証相当レベルまで検証済み。系統連系運転状態下の試験では、5・5kW出力時の効率が同社の現行機種と比べ、電気損失が約2分の1、サイズも約2分の1となる550×280×195ミリを実現。
これにより、現行機種の「KP55M」の筐体そのままで、出力容量が約2倍の9・9kWに変更することも可能。さらに、放熱構造の改善による密閉式のため、湿度の高い屋内にも設置可能で設置場所を選ばない。
新デバイスによるディスクリート設計で、スイッチング周波数の高周波化を行い、静音設計を実現した。
同社では、低圧のミドルソーラー(中容量太陽光発電)システム向けや屋内外の住宅向け、沿岸部などの塩害地域向けなどの市場をターゲットに、15年度中の販売を目指す。