ものづくり現場の省エネ化がさらに加速しそうだ。フィールドネットワークを利用して、機械・装置が自律的に稼働する制御システムを構築して生産効率を上げるとともに、待機電力の削減なども目指している。この一環としてドイツでは「Industry4・0プロジェクト」として産官学で取り組みが進んでおり、日本でも早晩、導入が見込まれる。
生産現場でのフィールドネットワークの導入は通信と制御のプロトコルを統一することで、異機種・異メーカー間の機械や装置が違和感なく接続し稼働できる目的で進展してきた。ここに、最近は安全制御のネットワークも接続されるようになってきたことで、フィールドネットワークの使い良さが深まっている。
フィールドネットワークを利用した省エネ化への取り組みは、欧州を中心に普及しているPROFIBUS・PROFINETの団体であるプロフィバス協会が「PROFIBUS
Energy」として、コンセプトを明らかにした。その後ODVAやCLPA(CC―link)などもコンセプトをまとめている。
ネットワークを利用して、夜間や休憩時の機械が稼働していない時の待機電力を監視しながら、このエネルギー消費を削減しようというもの。予熱などが必要な設備もあり、フィールドネットワークを駆使しながらきめ細かな電力監視をすることで、省エネにつながる効果を見込んでいる。
こうしたネットワークの有効性をさらに発展させ、IT(情報技術)と制御技術を融合させてユニバーサルな生産環境を実現しようというのがIndustry4・0のコンセプトだ。
ここでは様々な装置が相互に連携し、自己の最適化と再構成で命令や動作条件を変えられる分散型生産システムを目指している。これが実現できれば、ものづくり現場の省エネ化などは非常に容易な取り組みのひとつとなる。物理的なコンポーネントと仮想的なコンポーネントが絡み合い、企業間の壁を越えたネットワーク統合も予想されている。
Industry4・0には、第4次産業革命につながるとして4・0の名称を付けたと言われており、スマートファクトリー実現への大きな動きとなりそうだ。