分岐点(2014年4月16日)

ある制御機器メーカーの経営者は、テレビを見ていて、開発に関連することでふっと気付かされることがあるという。客先をたびたび訪問し談笑するのが好きで、会社の席に座っていない。毎日、訪問先に出掛けて観察し、製品開発につなげている。いつも頭の中は開発の案件が多数詰まっており、運転中や家の出来事でも開発に関連付けてしまう。

全国の商社を指導して回っているある先生は、商社の営業社員と中小製造業を訪問したとき工場を見学した。検査部門で、検査冶具を並べてその前で幾人もの従業員が作業している光景に唖然とした。不合理な生産性の悪い検査業務に、事務所で毎日、改善対策ばかり考えていたが、あるとき工具の改良と作業方法を思いつき、採用された。担当商社では販売を横展開し、売り上げを増やしている。

日本の製造業は、99%が中小企業である。出荷額では1%の大企業が約60%を占める。中小製造業の低い生産性は、逆にFA制御業界にとって市場開拓の余地があるといえる。経営者も含めて生産に取り組んでいるため、たとえ不便さを感じても改良せずに、従来の手法を踏襲してしまう。第三者に指摘され、初めて気付くケースもあるが、実行はされない。

中小企業の現場では、もっと効率の良い作業をしたいと思っている人が必ず存在する。そうした不都合や不便さを感じている現場の人を見つけ出し、一緒に改善策を考えことが大事である。今は、なかなか生産現場に立ち入れない。が、比較的入り込みやすいのは商社であり、第三者としての立場にある。職場の仲間として迎えられ、第三者の目で改善策を考え、必要な装置を作る。商社の営業社員は、それができる。

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