生産ラインに設けられた記念ゲートを電磁開閉器が通過した瞬間、一斉に歓声と拍手が沸き起こった。地球一周分の製品を作り続けてきた喜びである。富士電機機器制御の吹上工場で8日行われた電磁開閉器3億台達成の式典は、ものづくりに従事する従業員の誇りと次に向けて挑戦する意志表示の場であった。(1面参照)
埼玉県鴻巣市にある吹上工場は、東京ドーム3・3個分の広さを誇り、70年の歴史を持つ富士電機汎用機器の生産部門である。
吹上工場は、電磁開閉器の生産開始以来60年間にわたって、主力工場として活躍してきた。コンピュータ制御による小型標準品の生産ラインは、国内シェアトップの原動力となっている。
■超ロングランのヒット
25年間の超ロングランヒット商品で、今でも売れ続けている新SCシリーズなど生産製品は、従業員の自信作でもある。こうした熱意が市場に受け入れられ、3億台を達成することができた。
小型電磁開閉器は、吹上工場で生産されている。1階は自動化ライン、2階は受注品対応の半自動ラインが設けられている。
8日の電磁開閉器3億台達成式典は、専用機が整然と並ぶ1階で行われた。
伊藤文夫・富士電機機器制御社長、安部道雄・富士電機執行役員専務、特約店代表などによるテープカットと同時に、生産ライン上の記念ゲートに小型電磁開閉器がゆっくり差し掛かったとき、従業員や参加者の目が一斉に注がれた。くす玉が割られ、歓声と拍手が会場を和やかな雰囲気に変えた。永久保存台にゴールドの製品を置く伊藤社長からは「成し遂げた」笑顔があふれ出て、会場全体に伝播する。
式典後、従業員が愛着の製品を手に記念写真におさまる姿には、一人一人にものづくりの心が宿っているように見えた。
■工場一丸で邁進
池田慎司・吹上工場製造部長はあいさつで「200人以上の関係者がこの記念すべき日を分かち合えたことに感謝します。今後も継続して市場に受け入れられる製品を供給していくために、工場一丸となって邁進します」と宣言した。