ドイツでは次世代のものづくりを追求した「インテグレーテッド・インダストリー・ネクスト・ステップ」(次代の産業統合)をテーマにした取り組みが2011年から行われている。第4次の産業革命にも例えられ「インダストリー4・0」として、あらゆる業種が参画をしている。
4月にドイツ・ハノーバーで開催された国際産業技術見本市「ハノーバー・メッセ2014」では、この言葉が大きなテーマとして取り上げられた。日本と並ぶものづくり大国のドイツであるが、日本同様、自動車などの主要産業では海外への工場立地が進展し、新興国とのコスト競争が強まっている。生産コストを抑えながらこれに勝ち抜くためには、もう一段高いレベルでの生産改革が必要となる。
企業の境界を乗り越えながらの柔軟なバリューチェーンの実現、バーチャル(仮想)とリアル(現実)を考えながらの製品設計と生産エンジニアリングの融合、すべての機械間通信へのサイバーセキュリティ対策などがポイントとなる。
2022年頃には具現化するものとみられているが、すでにその一端は始まっている。
フエニックス・コンタクトは「クリッププロジェクト」の名称で、顧客の要求に応じた制御盤を組み立てる、モジュール化提案を行い付加価値の高い販売を行っている。制御盤製作に必要なデータを入力するだけで、制御盤内の配置も考慮した設計により、部品からの組み立てを自動的に行える。
環境大国ドイツでは自然エネルギーの普及度合いが高いが、フエニックス・コンタクトでは、ソーラー発電(PV)の最適な運用提案も行っている。温度や湿度などによっても発電効率が変化するPVを風向きなどで角度を変えることができたり、パネルの温度分布を見ながら品質の作り込みを行うことで、不良品を出さない提案も行っている。
ハノーバー・メッセでは、プログラマブルリレーシステムをはじめとした各種コントローラや、端子台、コネクタ、マーキングシステムなどの新製品群が多数披露されたが、日本市場の動向を見ながら今後、順次発売が計画されている。
大学生が就業体験
フエニックス・コンタクトでも大学生の就業体験を積極的に取り入れている。半年間ごと、あるいは3カ月ごとに企業での就労と学校での授業を繰り返し、さらに、マスターコースなどもある。ドイツでも理科系、とりわけメカ系の学生が減少しているという現象がある。同社のある地域は地方であることから、都会に比べると学生の採用がしづらいという背景もあり積極的で、ハノーバー・メッセなど、国内外からの展示会や工場見学などの来客へのアテンドでも活躍している。