国内産業の空洞化、新興国の技術力が向上する中で、今後の日本の産業競争力強化に向けて、関連工業会がビジョンの策定を進めている。日本電気計測器工業会(JEMIMA、海堀周三会長)は、今年度から「JEMIMA3カ年事業計画」をスタートさせ、日本電気制御機器工業会(NECA、長崎春樹会長)も「次世代事業の発掘」への取り組みを開始した。市場のグローバル化がもたらすプラスとマイナスの側面を分析しながら、新たな産業振興を進めようとしている。
JEMIMAでは、今年3月に終了した3カ年計画の後を受けて、2014年度からの3カ年事業計画を策定した。
この計画の重点目標として、(1)工業会活動のグローバル化対応の推進(2)連携強化による工業会活動の拡大(3)会員満足のさらなる向上を掲げた。
このうち、グローバル化では、海外の関連団体との交流強化に向けて、英国、中国、台湾、インド、ベトナムなどの団体との交流を進めるとともに、国際標準化事業や国内外規制動向調査などで、基盤を強化して、世界市場を視野に入れた活動と情報発信を進める。
また、国内でも関連工業会との交流を強化することで、単独の工業会の枠から幅を広げるとともに、すべての産業とかかわることで、多方面からの情報収集と発信を狙っている。
NECAは、次世代産業と電気制御機器の接点を増やすことで、事業領域を拡大し、会員会社へのサービス向上につなげようとしている。
現在、候補に挙がっているのは「医療・介護」と「農業」の2つの分野で、従来から取り組んでいる直流給電と合わせて検討を行う。
医療・介護では、高齢化社会の進展により、ライフイノベーションのなかで、センサーやスイッチ、コントローラ、安全機器などの用途が広がる。農業も、植物工場や農業ロボット、GPS利用による作物の成長管理などで用途が見込める。
今年度からワーキンググループ(WG)で検討を進めるとともに、展示会やセミナーなどの開催で、かかわりを探るための広報活動にも取り組む計画。
こうした取り組みは国の成長戦略とも絡んでおり、国内産業の活性化と国際競争力強化につながる重要施策と位置付け、展開を図っていこうとしている。