三菱電機は、汎用シーケンサ(プログラマブルコントローラ)の新製品として「MELSEC
iQ―Rシリ―ズ」64機種を6月30日に発売した。標準価格は、CPU(40Kステップ)12万円、同(1200Kステップ)68万円。モーションコントローラ(16軸)30万8000円。販売目標は2014年度2万台。
形名に使われている「R」は「オートメーションの新たな時代への架け橋として、製造業の革命的進歩を牽引する」という意味を込めて「Revolutionary」の頭文字からつけられた。
新製品は「システム性能と操作性の向上によるTCO(Total Cost of Ownership)削減」「高い互換性による既存資産の継承からのTCO削減」「技術的流出リスク低減と製造品質向上」の3点が実現できる仕様となっている。
性能と操作性向上のために高速システムバスを開発し、従来機種(MELSEC―Qシリ―ズ)と比べ、約40倍の処理能力と速度を実現している。
基本演算処理速度(LD命令)も0・98nsと業界最高クラスで、システム全体で従来機種と比べ、約8倍の高速処理が可能になった。
さらに、エンジニアリング環境も「GX Works3」と組み合わせることで、ユニット制御のプログラムを簡単に作成できる機能を実装するなど、ソフト開発工数を削減できる機能を搭載している。
また、シーケンサ内部にある生産・情報データや操作履歴を自動保存する機能も搭載し、トラブル時のメンテナンス工数を削減できる。
しかも、MELSEC―Qシリーズで作成したプログラムのコンバートが可能なため、過去のプログラム資産を有効活用できる。従来の各種ユニットの活用も想定して、専用増設ベースもラインアップ。補用品などのコストを抑えながら、新機種の導入が可能。特に入出力ユニット・アナログユニットの端子台には、Qシリーズの18点ネジ端子台がそのまま取り付けでき、既存の外部機器配線をそのまま流用し、配線コストの削減も図れる。
そのほか、技術的流出リスク低減に向けて、プログラム(プロジェクトデータ)の保護機能を大幅に強化しており、「セキュリティキー認証機能」を搭載で、セキュリティキーを登録していないパソコンでは、プログラムを開けないようにロック。CPUにアクセス可能な機器のIPアドレスを登録、ネットワークを経由した制御システムへの不正アクセスを防止する機能なども追加、セキュリティの強化を実現した。
■CC―Link
IEフィールドネットワークで接続されたシーケンサユニット全体が、同期して動作できる。モーション制御など、各動作に高精度な同期が必要とされるアプリケーションを容易に実現できる。
エンジニアリング環境はサイトライセンスを用意。同一法人、同一事業所内であれば、ソフトウェア登録を条件に上限200人まで使用可能なタイプもラインアップ。追加ライセンス料金について気にすることなく導入できる。旧バージョンを購入しているユーザー向けには「グレードアップ版」も用意。
CPUには全機種Ethernetポートを標準搭載、従来機種と同等の価格設定で発売した。