オムロンは、微小な環境振動エネルギーから高効率に発電し、直流電源化する小型電源モジュールを、オランダimec社と共同で開発した。
オムロンのエレクトレット振動発電デバイスとimec社のパワーマネジメントIC技術を組み合わせたもので、同社によると世界最高効率を実現しているという。
産業分野では、あらゆる設備や機器にセンサーを搭載してインターネットにつなぐIoT(Internet of Things)で各種のデータを収集できる自立型ワイヤレスセンサーに注目が集まっている。ここではセンサーなどの電子部品の小型化・低消費電力化と、それらへの電源供給が大きな課題と言われる。
今回開発の電源モジュールは、μWレンジの振動エネルギーを世界最高効率でセンサーの駆動電圧に変換し、充電することを可能にしたもので、プロトタイプは5×6センチ、15・4グラムと小型軽量で、出力電圧の選択を1・5V~5Vの範囲で設定できる。これによって、産業機器から消費財分野までの広範囲なアプリケーションに対応でき、アクセスの難しい場所でのセンサー用電源としての活用が容易になる。
オムロンは現在、加速度センサーや温度センサーなどの電源として一部の顧客やセンサーメーカーなどに同モジュールを提供。プレス加工機などにおけるモーターの振動を電力に変換して経年変化による設備の故障や部品破損を安定的に監視・診断するための実験を行っている。
オムロンの技術・知財本部価値創新推進室内田大道室長は「いかなる環境でも当社のエレクトレット振動発電デバイスはごく微量ながら電気エネルギーを生み出す。生産現場に存在する環境振動は多様であり、従来はそのままでは安定的な直流電源として活用することは出来なかったが、エレクトレット振動発電デバイスに最適なパワーマネジメント技術を持つimec社と共同開発した電源モジュールは、小型低消費電力ワイヤレスセンサー、特に設備管理や故障検知システムのような産業向けセンサーネットワークとしての要求項目を満たしている」とコメントしている。
imec社は、ナノエレクトロニクス研究の独立した研究機関。